『川島屋百貨店』

『川島屋百貨店』(ポプラ社/川島蓉子/2008)を読む。

新聞紙上での連載を書籍化した一冊。

伊勢丹な人々』『TOKYOファッションビル』などの著書で、商業、デザイン、ブランディング、ファッションの動きを捉えてきた川島氏が、デザインコンシャスな商品をセレクトし、案内する。

章立ては、「1階 アクセサリー」「4階 雑貨」など百貨店に見立てて、見開きで一商品ずつを紹介していく明快な形式。好きなページから読める。

紹介される商品は、天然素材などを用いた品質の高さもさることながら、“これらの商品を使うことで手に入りそうなライススタイル”も提供してくれそうだ。

また、少なくとも二つの意味で、本書は今日的なニーズを満たしている。

一つは、本書に登場する商品たちは、“ゆったりと豊かで健康で上質な暮らしを送りたい”と望む現代の日本人に、“私たちが日々の多忙さの中で失っている”と感じているものを補填してくれること。つまり、リラックスやゆとりという世界観を提供するというニーズ。

もう一つは、商品が少量多品種化したり、商品をめぐる情報量が増大すると、本書の著者のようなコンシェルジュ的な機能を担う人が求められる。「〜〜さんのお奨め」ということが、購買動機になる。本書は、そうしたコンシェルジュ的要素を持っている。つまり、絞り込み済みの情報を提供するというニーズ。

そんなわけで、“雅姫さんや原田知世さん(このイメージが正しいかどうか、分からないが。。。)のようなオシャレでスローな暮らしを始めたいけれど、何から買えばいいのか分からないわ”という方には、お奨めの一冊。

川島屋百貨店

川島屋百貨店