デザイナーズウィーク  ブックファースト  ネイン

ここ2週間くらい。
入稿作業や原稿書きやイベント取材やらで、書き残しておきたいことはあるが、書く時間がなかなか取れず。

■自由が丘にオープンした「アディダス」「トミーヒルフィガー」を覗く。二つの大き目の店舗が並び、街角にカジュアルでスポーティーで明るい空気が漂っている。
両店とも自由が丘の客層に合ってはいるだろう。ジョギング、犬の散歩、ジム通い、ヨガなどをしている人が多そうだから。小さい子を連れた若いファミリーも多く見かけるし。 ただし、この街には、無印、GAP、ABCマートなども十分な広さの店舗を構えているから、それらの店で代替できそうな気もする。
http://jiyugaoka.keizai.biz/headline/294/

■アーキコンプレックスの廣瀬さんとようやくお会いする。2年前にデザイナーズウィークで作品を取材(その時は電話でお話を聞いただけ)させていただいて以来、いつかお会いしてみたいと思っていた建築家さんの一人であった。その後も何度か飲み会でお会いできそうな機会もあったが、お会いできず。思わず名刺交換しながら、「やっと会えましたね」などとお互い言ってしまう。
最近のプロジェクトについて伺う。独立インフラを使ったプロジェクトや、海外での展示会場デザインなど。
また、アメリカ留学もされており、アメリカでの建築系デジタルツールの概況についても大変分かりやすく教えていただく。
廣瀬さんがモデリングソフト「MAYA」を駆使して描く滑らかで躍動的な立体は、どこか、廣瀬さん自身の得意分野であるヒップホップダンスを想起させる。そのせいか、ずっと僕の頭の中には、『スケートボーディング、空間、都市 身体と建築』(イアン・ボーデン)の表紙が浮かんでいた。

■白川冨川の冨川さんとお会いし、じっくりお話を伺う。
和食店「祥月」の設計意図に関するお話を聞き、個室一つやテーブル一つでもまるで建築を扱うように設計している印象を受ける。驚きの視覚効果を持つ個室もあり、いろんなシーンを楽しめる和食店
その他のプロジェクトのお話も伺う。
http://www.sktk.jp/

■BACH幅さんと打ち合わせ。
情熱大陸」にも出演され、大変注目度が高くお忙しいはずだが、事務所にお邪魔し丁寧に打ち合わせをしていただく。
幅さんは、あまりメールを使われないようだが、これは、たくさんの仕事をこなすための一つの方策かもしれない。以前に、ある異色IT企業の若手社長とお話していたら、一切メールを見ないとおっしゃっていた。IT企業なのにメールチェックしなくていいのか、と驚いたが、組織のリーダーはメールなどしなくてよい場合もあるかもしれない。
現代で完全にそれを実践することは難しいが、自身の生活を振り返ると、一考の価値はある。

トネリコ米谷さんの事務所へお邪魔し取材。
密度の高いお話を伺う。連載最終回にふさわしい内容となった。丸3年間毎月続けた連載からは、当初の予想を超えて得るものが多かったので、それについては、後日改めて書きたい。

■新宿にてランチの会。デザイナーさん、建築家さん、web広告代理店の方、快眠セラピストさんなどが集まり賑やかなランチ。
雑談の中で聞いたところ、「ブログに広告を出してもらうとしたら、一日1000ビューぐらいあるブログでないと、広告主は価値を感じない」らしい。その他、睡眠のことやら「INTIME京橋」のことやら、いろいろ。

■レーベルクリエーターズの東京店のオープニングに行きたかったが、行かれず。今度改めて、行ってみよう。
http://www.label-creators.com/INFO/tokyo/tokyo.html

■一日中オフィスで、入稿作業や次号の取材依頼など。一日オフィスにいると、ずいぶん仕事が進む。そのため、外出する日としない日を、なるべく分けるようにしている。

■蒲田に立ち寄る。おそらく10年以上来ていなかったが、いつの間にか大きなグランデュオが2棟もできており、駅が清潔で賑やかになっていた。「フラッグスカフェ」で休憩。「ハニージンジャー(650円くらい)」という蜂蜜とショウガのドリンクを飲み、身体が温まる。風邪の時に良さそうだ。いろんなタイプの席が用意されており、一人でもグループでも居心地が良いだろう。
http://www.granduo.jp/kamata/index.html

■五反田ゴタンダソニックにて、「PROTOTYPE EXHIBITION 02」へ。
プロダクトデザイナーインテリアデザイナー・建築家などの方々によるプロトタイプの展示会。

出展者の芦沢啓治さんや清水勝広(MS4D)やグラフィックデザイナー中野さんに、この展覧会についてじっくり教えていただく。芦沢さんの0.5mmのスチールプレートを用いた照明ユニットは、運搬の容易さを考えた照明ユニット。岡安泉さんの、照明を使ったトリッキーな作品は目と頭を楽しませてくれる秀作。その他、トーマス・アントニエッティさんの超軽量なイスや、山中祐一郎さんの三次曲面の脚を持つテーブルなどが印象に残る。
なお、ブックレットが、ローコストなのに、凝っている。テンポラリーなイベントの空気に相応しいテンポラリーな製本。
http://www.superprototype.net/
http://www.gotanda-sonic.com/en/access/

アクシスギャラリーにて、オランダのアーチスト、マライエ・フォーゲルサングの「eating + design:デザインにできること2」展へ。
これは、面白い。彼女は、「食べる」という行為を通して、人々が空間を共有したり記憶を共有したりすることに興味を持っているようだ。
体験型の作品3つを中心に華やかな作品が並ぶ。
http://www.axisinc.co.jp/publishing/exhibition/200810.html

アクシスギャラリーにて、「セイコー パワーデザインプロジェクト2008」展へ。
深澤直人さんがディレクションし、セイコーのデザイナーさんが時計のデザインを提案している。今回のテーマは「TOKYO(東京)」。
駅名(街の名前)をモチーフに腕時計をデザインしたようだが、モチーフとデザインの関係が、わかるようなわからないような不思議な距離感を保っていて、楽しませてもらった。千駄ヶ谷とか谷中は、本当にそんなスタイリッシュなイメージだろうか、と考えるだけで楽しい。時計を見るというのは、時刻や時間を見るということだが、同時に場所についても思いをはせてしまうところが、この時計たちの面白みだと感じる。
http://www.seiko-watch.co.jp/p_design/products/2008.html

アクシスの向かいのアスリープへ。安積伸さんの新作ベッドやテーブルを見る。リラックス感が漂うが、おしゃれな家具。
http://www.aisin-asleep.com/

カラヤン広場にて、ゼロ展を見る。
プラグプラスの「フィロー」や松原美恵さんの「飛び出すイス」が印象に残る。前者は組子を使ったイス。座り心地がどうかわからないが、強度を満たしているというのは説得力がある。全体が洋風のイスのようなシルエットだが、近くで見ると組子というギャップがいい。
後者は、動きがある作品で、作品に時間が組み込まれている分、興味を引かれたのかもしれない。
帰社して、今日見た展示を担当者に報告したり、次号の依頼など。

■早朝からオープン前に新丸ビルにて、撮影。PR事務局の方の手厚いサポートで、無事撮影完了。物販店フロアというのは、飲食店フロアに比べると、閉館時のセキュリティーが厳しいようだ。商品が陳列されたままなのだから、当たり前だが。

新丸ビルの丸の内ハウスで「環境とデザイン」展を見る。
「POPET」「WASARA」が印象に残る。特に、前者は、環境問題に対して取り組みながら、ストイックにならず、楽しさにあふれている。「〜しなくてはならない」(分別しなくてはならない、とか)という教条的なメッセージを、デザインの力によって、「〜したい」(分別したい、とか)という利用者の自発的なアクションへと転換しようとしているところに共感した。
http://marunouchi-house.com/topics/designtide_2008.html

■前日に続き、再びカラヤン広場へ行き撮影。
撮影に関して、目の前のオーバカナルでカメラマンさんと打ち合わせ。このカフェは時間がゆったり流れていて居心地がよい。

■スペイン大使館にて、撮影。エクトル・セラーノ・スタジオによる会場構成は、シンプルできれい。LED制御で会場の空間は、一面赤になったり一面青になったりするので、展示されているプロダクトの本来の色は、まったく分からない。(どれも白だったような気がする。)その分、プロダクトの形態にのみ意識が向くという珍しい展示。それが、エクトル・セラーノの意図かどうか分からないが、少なくともそう感じた。

■ミッドタウンに移動し、Tideメーン会場へ。
サポーズ谷尻さんにお会いする。会場デザインを手掛けたのが谷尻さん。不織布を風船で吊ってブースをつくるというアイデア。建築は通常、下向きの重力を前提に建設されるが、ここでは上向きの「重力」を設定して、その制約の中でデザインするという転倒が興味深い。
「ファッションと建築の中間にあるようなものをつくろうとした」と谷尻さんに教えていだだく。不織布の位置がずれると、なんと谷尻さん自身が手で直すという素晴らしいアフターケアぶり(もちろん事務所のスタッフの方と交代しながら。)いよいよ東京事務所を開設されたというお話も聞く。

デザインユニット「参」のイスや、central line studioのラピッドプロトタイピングを用いた展示が印象に残る。
http://central-line.net/data/works/039.html

フィレンツェの女性5人組の作品も個人的には気に入った。レシピを配るというパフォーマンス。「みんなが自らの手で食事をつくり、みんなで一緒に食べていたという、過去の食事の風景を取り戻したい」というコンセプトだそうだが、残念ながら、作品を見ただけではそれがすぐには分からず、説明してもらって初めて分かった。そこで「あなたたちと似たコンセプトのオランダ人アーチストが、この近くのアクシスというギャラリーで展覧会をしているけど、見ましたか?」と聞いたら、「以前からお互いよく知っている」とのこと。さすが。西欧は国を超えたアーチストの交流が密なのだろうか。この例だけから簡単にはそうは言えないだろうが、それにしても、日本のアーチストが中国や韓国のアーチストとそんな関係を結ぶのは、どのくらい日常的な光景なのだろうか。
帰社して、雑務。

■SKデザインフォーラム第8回「OPEN COVERAGE EXTRA」へ。
中村竜治さんをゲストに、山本雅也さんがじっくり公開インタビュー。山本さんの様々に角度を変えた丁寧な質問と、それに対し、決して思いつきの発言をせず、その場でゆっくり考えて、虚飾を排した素直な言葉で語る、お二人の語りが共に印象的であった。
特に、「形に良い悪いはないと思う」という中村さんの発言が耳に残る。

■ワールド青山ビル1階 エントランスにて、フランク・O・ゲーリーの「東京ベンチ」を見る。木でつくられているところが、いい。もし、FRPか何かでつくられていたら、もう少しリラックス感が損なわれていただろう。
http://www.world.co.jp/news/company/2008/1030.html

■プリズミックギャラリーでサポーズデザイン展を見る。
東京事務所という設定の展示構成。スケッチやつくりかけの模型を見られるので、臨場感がある。スケッチの片隅に、「もっと面を強調して、箱としてつくる」というような趣旨の手描きメモが書かれていたりして興味深い。
それにしても、サポーズデザインさんのつくる住宅は、なぜ模型を見ただけで気持ち良さそうな空間の雰囲気がこれほどに伝わってくるのだろうか。
http://www.prismic.co.jp/gallery/gallery_works23.htm

■アーキテクトカフェで開催されていたガールズナイトへ立ち寄る。
知人の建築家、広瀬さんや小川さんも出展されていた。エクスナレッジの編集の方々にもお会いし、御挨拶。

■外苑前のEXTOショールームで、フトイ展を見る。特に、五十嵐久枝さんの、レースと光ファイバーによるインスタレーションは、美しい。
http://www.exto-series.com/index2.html

■「ブックファースト新宿店」内覧会へ。職場の近くに、巨大な書店ができるということは、それだけで、日常生活が大変エキサイティングになる。建築の形のせいか、平面計画が不整形なので、目当ての本をすぐに探したい人には、少々不便かもしれない。空間が4つくらいに分断されているから、オペレーション側もラクではないだろう。しかしながら、複雑な平面計画は、「書物の森を散策する」という目的ならば、やはり大変エキサイティングである。

トークショーも聞く。安岡洋一さん(hacknet)、幅充孝さん(BACH)、福井盛太さん(SPBS)、ブックファースト新宿店梶野光弘店長の4人。リアル書店の面白さや、「本屋に行こうキャンペーンなどを仕掛けたほうがいいんじゃないか」など、リアル書店にどう人を呼び込むかという話など。トークショーの場でも、幅さんは、すかさずカバンから本を取り出し紹介し、その場を「人と本が出会う場」に一瞬で変えてしまう。さすが。八っとさせられた。

更に、コクーンタワーのモード学園の内覧会にもお邪魔し、最上階や主要階を見る。美容師を目指す学生の実習室は、ちょっとした美容室よりはるかにオシャレで、ここで営業してもいいんじゃないかと思うほど。3フロアごとにラウンジスペースが設けられているが(外観で見ると繭の裂け目みたいなガラス張りのゾーン)、高層階では、だいぶ狭いが、20階くらいまで下りてくると、だいぶ広いラウンジになっており、心地良さそう。(建物が下階ほど太いので、ラウンジも下階ほど広く取れる)

http://www.book1st.net/blog/topics/
http://www.mode.ac.jp/tokyo/facilities/index.html

■編集長と打ち合わせ。考えておいた企画を、いい方向にディレクションしてもらい、2月号の記事の方向性が固まる。テンポよくスムーズな打ち合わせ。

■ひたすらオフィスワークの一週間。朝から夜までオフィスで集中すると、作業ははかどるが、心身が磨耗する。適度に外に出たいところだ。(先述のの「外出する日としない日を、なるべく分けるようにしている」と矛盾するが。)
取材のお願いの連絡、取材や撮影の段取り、資料作りなど。

■編集会議。少々長引いたが、いろんな情報を交換したり、互いが考えていることを知るいい機会。他のメンバーが出した企画のどこが面白いか、そして、どうしたら、より面白くなるか、どうしたら現実味が増すか、などを考えるのは、いいトレーニングになる。自分が企画をつくるときも、それを客観視できるようになる。とはいえ、あまり、客観的な視点に偏ると、企画はつまらなくなりがちだが。
今朝は、東横線も山手線も遅れており、いつまでたっても会社に辿り着けない気分であった。まるでカフカの小説のようだ。
それにしても、周囲で風邪が蔓延している。

■ライターさんと、打ち合わせ。素早く要旨を掴んでいただき、こちらまで爽快な気分になる。取材が楽しみ。

■赤坂のドーナツ店「ネイン」にて、ドーナツをいただく。基本に忠実な味という印象で、毎日おやつに食べたいくらい。内装もサービスも心地よいし、駅から近くアクセスもいい。
http://akasaka.keizai.biz/headline/88/
http://www.neyn.com/

■ふと思い出した言葉を一つ。「習慣をつくるのは人だが、その後は、習慣が人をつくる」。いい言葉である。

■『大腸の健康法』、『建土築木』、『快眠セラピー』、『ZOOM』、『結婚難民』、『自分探しが止まらない』を読む。どれも面白いので、感想は後日書けたら書きたい。