映画『スティング』を観る。
『明日に向って撃て!』と同様、監督ジョージ・ロイ・ヒル、主演ポール・ニューマンとロバート・レッドフォード。痛快エンターテインメント映画。とてもよく練られた構成とテンポのいい展開、次々と披露されるトリックで、飽きずに最後まで見させる。
若気の至りで暴走しがちなフッカー(ロバート・レッドフォード)と、つねに冷静沈着に思考するゴンドーフ(ポール・ニューマン)の関係が微笑ましい。
また、ギャングのボスであるドイル・ロネガン(ロバート・ショウ)を騙すため、ゴンドーフのもとに30人くらいの詐欺師仲間が集まるが、詐欺師たちの働き方が魅力的。
集まった詐欺師一人ひとりが、機転を利かせながら、組織の中で必要な任務を的確にこなす。リーダーであるゴンドーフは、統率力や判断力が高い。さらに、リーダーには信頼できるブレーンたちがおり、彼らの情報収集能力が高い。個々人は、ベタベタせずドライな距離感を保っているが、結束は固い。そして、そのネットワークには、おそらく様々な年齢、風貌、キャリアの詐欺師が含まれており、必要な人間が、その都度集まれるようになっている。
こうした彼らの働き方は、それぞれの専門を持つプロの技術者たちがプロジェクトごとに必要な人数だけ集り、離合集散していく“緩やかな共同体”と同じ。ネットワーク時代の昨今のクリエーターなどにとっても、理想的なビジネス組織のモデルとなりそうだ。
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