Vitra建築パーク  撮影いろいろ  クリエーティビティー

ここ数日。

■11月号入稿と後処理が一段落し、12月号の取材、撮影、打合せが動き始める。11月号で制作した「プレゼンツール特集」は、プレゼンツールの話を超えて、プレゼン思想やBIM(ビルディング インフォメーション モデリング)の動きなどにも触れることができ勉強になる。

■中国で売られている『月刊 商店建築』の海賊版なるものを入手する。なんとハードカバーの豪華版。本誌ですら、ハードカバー版なんて発売していないのに。。。
特集は、バラしてリミックスされ、文字中心のぺーじは取り除かれ、写真中心のダイジェスト版のような様相を呈している。レイアウトはそのまま。文字部分は中国語に訳されている。
現地では、日本円にして1500円くらいで売られているそうなので、極端に安価というわけではない。しかし、中国出張の際に書店で住宅系の建築雑誌を購入したら、日本円にして600円くらいだったから、1500円はけっこう高いのだろうか。

■ウェブカラーキネティクス・ジャパンの方から、メールニュースをいただいた。
和菓子屋さんにLED。
http://www.colorkinetics.co.jp/web/cat31/newsletter2.html

■ノイズアーキテクト豊田さんを訪問。
本題だけでなく、話題は、コロンビア大学への留学時代のお話などにも広がる。
アメリカの大学では、お金(卒業生などからの寄付金など)を集めてきたり教授を招聘したりするマネジメント組織としての学科組織が確立されている。学科から見れば、教授は外部の人間で、学科が教授を雇うという関係にあるという。日本では、運営組織と教授がほとんど分離されておらず、教授自体が学科の運営をしているようだから、大きく違う。だから、日本の大学では、教授が延々と会議に時間を使わせられてしまい、研究の時間を奪われるのだろう。更に、外部から優秀な教授を受け入れる土壌もない。
アメリカ型の大学組織の問題としては、「即座に金になりにくい基礎研究みないな分野が、大学での居場所を確保しにくくなってもいいのか」などの指摘もあると思うが、もう少し日本の大学も、アメリカ型を導入して、教授が研究に集中したり、優秀な外部教授が入る余地などをつくれないものか。

■目黒駅前の「yuuan」にて、ライターの方と打ち合わせしながらランチ。古代米グリーンカレーのランチセットを食べ、満足。ヘルシーっぽい雰囲気が漂っている。
http://r.gnavi.co.jp/g411109/

■気になっていた本を数点購入し、次号の取材のための資料をチェックし、帰社。
入稿作業や入稿準備。
イタリアのデザイン事務所に投げておいた質問事項に返答がきていたので、原稿化。原稿に合わせた写真を数点リクエストすると、すぐに高画質の写真がメールで送られてくる。つくづく便利な時代である。そして、日本のビジネスメールと違い、「お世話になっております」などの、本題以外の緩衝帯みたいな文言を使わないので、スッキリしていてスピード感がある。

■知人のデザイナーさんから、コンペ情報をいただく。
ファミリーレストランほか外食事業を展開するロイヤルグループは、実施することを前提とした、空間のコンセプトとそのデザインを募集します」とのこと。
http://www.royal-designcompe.jp/
自分自身が参加するわけではないが、結果が気になる。

■代官山や外苑前の待ち合わせスポットとしてお馴染みのカフェ「サイン」が、「ecute立川」にも10月7日にオープンするというプレスリリースをいただく。立川に行く機会は、ほとんどないが、機会があれば寄ってみよう。
http://www.transit-web.com/index.html

■親類の結婚式で、天王洲のシェ松尾へ。
見晴らしも良く、チャペル、レストラン、ラウンジなど2層に渡る店内を貸切り、気持ちいい式。新郎新婦2人の特技が活かされた演出。フォーマル過ぎず、リラックスした雰囲気。そして、ステーキにフォアグラが乗ったメイン料理を中心に、最高に美味なメニュー。レストランウエディングの良さを堪能できる一日であった。
来月は、舞浜のホテルで旧友の結婚式があるので、ホテルウエディングの良さも見てこよう。
http://www.chez-matsuo.co.jp/

■原宿にてカメラマンさんとロケハン。店長さんに、お店の背景などを丁寧に教えていただく。

■原宿「D.IANA」カフェに寄る。
明治通りに面した店であるが、入り口が分かりにくく、1階が女性用の靴店であるせいか、平日は空いている。静かだから、打ち合わせに非常にいい。流れゆく車や人々をときおり眺めながら、考え事をしたり、本を読んだりするのにも、ふさわしいだろう。

■そのまま副都心線新宿三丁目へ行き、取材。その後、カフェで軽食を食べながら、取材した内容を整理したり、手帳を見ながら今週や今月やるべき仕事を整理し、帰社。

■「ブックファースト新宿店」が11月6日にオープンするに際して、内覧会のお知らせをいただく。3フロアに渡る大型書店が会社の近くにオープンすることは大変うれしい。カフェも併設されている。カフェと書店は相性がいい。先日数ヶ月ぶりに仕事で神保町へ行ったが、神保町の書店街と古めかしい喫茶店たちは、面的に広がる一つの巨大な施設のように見える。
http://www.book1st.net/blog/topics/#a006511

■渋谷にて写真家の太田さんにお店を撮影していただく。オーナーさんのご厚意でじっくり時間をいただけたため、アングルに試行錯誤しながら、納得のいく撮影をする。こちらから太田さんに編集上の意図をお伝えしたところ、それに対して太田さんから粘り強くいろいろな可能性を提案していただき、結果的に迫力のある写真を撮っていただけた。

■帰社して、原稿の修正や次号のレイアウト作業。

■「考える人」をパラパラ読んでいたら、堀江敏幸氏がパリの書店を案内する記事を書いており、大変楽しく読む。パリのお奨め書店を数店挙げながら、堀江氏が今までどのような本の買い方をしてきたのか、今どのような本に興味を持っているのかなど多様なトピックをバランスよく取り入れ、読後の充実感がある。メリハリのある写真の使い方も好感。

■神保町にて、岡村製作所による「オカムラVisplayショールーム」のオープン記者発表会へ。物販店のシステム什器のショールーム。「Visplay(ヴィスプレイ)」社は、スイスに本拠を置く店舗用システム什器メーカー。家具の製造販売メーカー「Vitra」社のグループの一社である。Vitraグループの要職の方(ドイツ人っぽい名前で、ドイツ語を話していたが、スイスの人口の65%がドイツ語を話しているからスイス人かもしれない)が登場し、Vitraグループの話をしてくれたのだが、彼らの本社や工場が立ち並ぶ「Architecture Park」が興味深かった。いわゆる有名現代建築家による建築が多数立ち並んでいる。個々の建築は写真で見たことがあったが、それらが一箇所の敷地に立っているとは知らなかった。安藤忠雄やフランク・ゲーリーミュージアムザハ・ハディドの消防署、ニコラス・グリムショウやアルヴァロ・シザの事務所や工場棟、バックミンスター・フラーのテント構造、ジャン・プルーべのガソリンスタンド。更に、2009年のオープンに向けて、SANAAによる物流センターとヘルツォーク&ド・ムーロンによるヴィトラハウスを建設中とか。まさに現代建築の博物館。年間10万人の来場者がいるそうだ。ぜひ一度行きたい。取材に招待してもらえないだろうか。

http://www.okamura.co.jp/company/topics/shop/2008/visplay_showroom.php
http://www.vitra.com/fr-ch/collage/architecture/

■原宿にて、某多目的ショールームにて写真家の鈴木光さんと撮影。店長さんや広報さんや設計事務所の担当者さんに大変手厚くご協力をいただき、じっくり撮影を完了する。一つのデザインシステムでつくられた大きな空間なので、どう少ないカット数で、大胆に見せるかに腐心する。

■ライター野田さんと打ち合わせ。さすがにベテランのキャリアから、いろいろなインスピレーションをいただく。

■カッシーナのレセプションに行く予定にしていたが、行かれず残念。

御茶ノ水にて健康診断。採血を右腕でしたら、「血管が動いてしまい、うまく針が刺さりませんでした」と失敗され、左腕から採る。

■外苑前にて写真家の白鳥さんとロケハンし、駅前のサインカフェにて打ち合わせ。「歳を重ねると、いろんな生き物や植物の生命の愛おしさを感じるようになってくる」など、お話が盛り上がり、つい長居してしまう。窓の外を歩く人がやけに多いと思ったら、巨人の優勝をかけた巨人vsヤクルトが神宮球場であったのだと翌日新聞を読んで気付く。

■帰社して、雑務。取材アポやメール返信など。
ある家具ショップの広報の方にメールのお返事を書きたいと思いつつ、時間がなくて書けずに慌しく社を出たら、新宿駅の地下でその人にばったり擦れ違い、あまりの奇遇に驚く。ただ、擦れ違う瞬間に気付いて、声をかけるタイミングがなかったので、直後に携帯に電話をしてみたら、やっぱりそうだった。
夜、恵比寿に立ち寄り、軽く飲みながら食事をして帰宅。

■筆記用具について少々。
仕事で使用しているペンは以下の4種類が基本。ボールペンなら「UniBall」の赤と黒、サインペンならPentelのサインペンの赤と黒。会社の備品として常備されているから。
おそらく多くのオフィスで長年使われているスタンダード商品だと思うが、確かにどちらの商品も機能性が高い。特にUniBallは、光沢のある紙に書いてもすぐ乾くので、校正時などにも便利。そして、どちらの商品も、実に簡素なデザインだから、どんなオフィスにも馴染むだろう。

ただ、個人的に、発色の良さが気に入っているPILOTの「ジーノック」やZEBRAの「サラサクリップ」も手帳やメモを書くときに使う。
http://www.pilot.co.jp/products/pen/ballpen/gel_ink/gknock/index.html
http://www.zebra.co.jp/pro/sarasa/index.html

最近、ペンテルの「工ナージェル」というゲルインキのペンが書きやすいことに気付き、赤青黒の3色をオフィスで愛用している。ボールペンらしからぬ柔らかくて滑らかなな書き心地と、発色性と速乾性を併せ持っている点が素晴らしい。字を書くのが楽しくなるほど。キャップ式とノック式があるが、ノック式のほうが書き心地が柔らかい。
http://www.pentel.co.jp/product/energel/feature.html

ちなみに、企画や原稿の大枠を考えるときは、ボールペンなどの細いペンではなく、サインペン(上記のPentelサインペン)を使う。ペン先が太いと物理的に細かい字を書けないから、企画のディテールにあまり意識がいってしまうことなく、大枠を考えることに専念できる。反対に、企画のディテールを考えるときは、細いペンを使う。

筆記用具といえば、建築家のノイトリング・リーダイクが描く、太いサインペンによる建物のスケッチが印象的。彼らがつくる力強いモニュメンタルな造形と合致している。
反対に、槇文彦さんの、細いペンで何本もの線を積み重ねるようにして描かれたスケッチも印象的。緻密に繊細に思考を積み上げていく槇さんの建築と合致している。どちらのスケッチも建築家の個性が出ていて魅力的だ。

というわけで、筆記用具と思考回路は密接に連動しているという話。

■先日、数人のデザイン関連の方々と雑談をしているとき、「クリエーティビティーの高いチームをどうつくるか」みたいな話題になる。
「部下に対して基本的に放任主義」とか、「知識や経験を蓄積するできるような“余計なこと”をする時間的&経済的余裕を与える」など、だいたいそのあたりは共通していた。その中で、ぼそっと「主要メンバーに雑用をさせない」と言った人がいた。声が小さかったせいかあまり反応がよくなかったが、実に本質的で素晴らしい意見だと感じる。これらのことができる組織は生き残り、できない組織はどんどん滅びていく、数年後にはそんな明快な社会が到来しそうな気がする。(あくまで直感なので、実証性はないけれど。)いや、もう到来しているかも。
ちなみに、「メンバーに雑用をさせない」という意見に対し、「雑用からも学べることがある」という類の反論をする人がいるが、これは間違っている。正確には、「雑用からも学べることがある」という一文だけを見れば正しいが、そう言う人は「主要業務からはもっともっと学べることがある」という当たり前の事実を意図的に忘れている。あるいは、本当に忘れている。
なお、先に出た「放任主義」についてだが、放任主義を機能させる条件は何だろうか。いま思いつくのは、三つ。一つは「部下に仕事を任せても、入口と出口だけはきちんとチェックすること」。もう一つは、「日々の個別のケースを通して、メタレベルの“原理原則”や“スタンス”を教えること」。この二つを、僕は今の職場で学んだ。三つ目は、メンバーが自律した人間であること。