編集会議  じぱん家  横浜トリエンナーレ

xsw23edc2008-10-21

ここ10日間くらい。

■編集会議。来年の年間スケジュール、連載など担当ページの振り分け、来年の方向性などが発表される。編集長は、つねに半年以上先を見据えている。
編集部全員で、企画のアイデア出し。先月は、デザイナーのクリエーションの根幹に関わるソフトな企画ばかり出したので、今月は逆に、内装の仕上げや施工段階などに関するリアルな実務に関わるハードな企画ばかり出してみた。来月はどうしようか。
最近、会議が盛り上がり、長引くが、いい情報共有の場だろう。

■外苑前にて撮影。オーナーさんや設計者さんにご協力いただき、スムーズに撮影。

■オフィスで担当特集の色校正など。合間で、ライターさんがいらっしゃり、海外ルポの打ち合わせ。掲載写真を選びながら、記事の全体構成を考える。気付いたら3時間半も話し合っていた。

■外苑前にて某社の社長に取材。企業経営として破綻しないラインを見極めながら、一方で、デザインに関する実験的な店舗展開を試みる。デザイナーに「作られてしまう」のではなく、デザイナーのクリエーションをうまく引き出している。ご本人が“デザイン好き”であること、デザイナーの意図を理解した上でデザイナーをコントロールする自信があること、必ずしも全ての店舗がうまくいくわけではないという前提で店舗展開をしてみること。そのあたりが、デザイナーを起用して多店舗展開する際の参考になるかもしれない。

■代々木にて、連載を執筆いただいているタカラベルモントの方と打ち合わせ。次号のテーマと概要。
帰社して色校正など。

OZONEのパーティーに行こうとしていたのだが、行かれずに、非常に残念。

日本橋にて翻訳者の方とランチ。コメディーの翻訳は難しいようだ。更に、映画などの吹き替えの台詞を考える際は、登場人物の口の動きに合うような日本語にするのが通例だそうなので、これはおそらく大変な労力だろう。そういう努力のおかげで、僕らは違和感なく吹き替えの画像を見られるのだろう。異分野の方と話すと新鮮な刺激をもらえる。

日本橋「イチノイチノイチ」。バー、カフェ、レストランなど、いろんな性格の空間がある。飲食店にしては床の段差が多い気がするが、その分、空間が緩やかに分節され、周囲の席の客が気にならず、会話に集中できる。テラス席からの眺めは、必ずしもいいとは言えないが、お茶を飲むには気持ちよいだろう。
http://r.gnavi.co.jp/g714618/

人形町「じぱん家」へ。
「五穀あん+ドリンク」で税込み500円。パンの生地も中のアンも、真面目で自然な味で、大変好感。試食した「チーズひじき」(?)も美味。ワンコインでこんなに健康的なおやつを食べられるとは嬉しい。会社の近くにあれば頻繁に利用するのだが、西新宿にはこういうお店が見つからない。。。店員さんに聞いたところ、川崎、汐留、秋葉原にもオープン予定とか。
http://www.zipang-ya.jp/index.html

■オフィスで仕事を終わらせた後、知人のホームパーティーへ。
よく取材させていただいているイベントの運営事務所にいる方や、ウェブ関連の方や、なんと数年前に弊社で働いていたという人に出会ったり、今後につながりそうな出会いがある。

■品川のとあるホテルのスイートルームにて、知人のワインパーティーへ。60人くらいで盛況。ここでも、日頃お世話になっている広告代理店の方や、百貨店の方、コンタクトレンズのメーカーの方、自動車会社の方、ビール会社の方など、日頃出会いにくい方々と出会うことができ、新鮮。

横浜トリエンナーレへ。三つのメーン会場とイエノイエをまわる。
印象に残る作品に出会えず、残念。平日だったためパフォーマンス作品が開催されていなかったことを差し引いても、前回のほうがもう少し興奮があった。今回は、ビデオアートが多かったことも一因だろう。
ビデオアートに対する僕のリテラシーが低いのかもしれないが、テンポラリーなイベントの場では、じっくり見るビデオ作品より、瞬間風速的なインパクトで強いメッセージを届けてくれるようなアート体験をしたい。必ずしも「分かりやすい」作品である必要はないが。

その中でも、いくらか印象に残ったものを数点。
「新港ピア」会場の、ケリス・ウィン・エヴァンス。天井から吊られた丸いミラーの裏からは音が出ている。時間の流れが少し滞留したような空間体験。
同会場の、シルパ・グプタ。横幅8mくらいあろうかという大きな写真作品4点。大自然を背景に緩やかに繋がる人々の不思議な写真。インパクトは強い。
同会場の、ミケランジェロ・ピストレット。たくさんの割れた鏡を貼った大部屋。印象には残ったが、深みを感じられず。

「赤レンガ1号館」会場の、ミランダ・ジュライの「通路」という作品。人が一人通れるくらいの細長い空間に、延々と言葉の書かれたパネルが並び、読みつつ歩き進める。その言葉自体には、大した意味はないと思うが、文章を読むという個人の脳内だけで処理される行為を、複数の他人と共有させる点は、興味深い。例えば、通常は可視化されない「読むスピード」が、「歩くスピード」という形で可視化される。そのとき、他の人は、文章のどの部分をどういう気持ちを抱きながら読んでいるのだろうかと、他人の脳内に意識が向く。
同会場の、チェルフィッシュの演劇のビデオ。「そういうシーンって、日常であるよなあ」と20〜30代くらいの人々が思えそうな内容が、出演者のおしゃべりで構成されていた。数分しか見なかったから全容が分からないのだけれど、これを演劇で表現する必然性はどこにあるのだろうか。それを確かめるために、一度、通しで見てみたい。

全体に、「身体」をテーマにした作品が多いように感じられたが、それなら、『赤を見る』(ハンフリー)、『流れとよどみ』(大森荘蔵)、『超人類へ』(ラメズ・ナム )でも読んでいたほうが、よほど身体に関するぞくっとする体験を得られるのではないか。

マシューバーニーの部屋だけは、やけに混んでいた。数分見てみたが、なぜこの人たちがそんなに熱心に見ているのか分からなかった。

■「情熱大陸」にブックディレクターの幅さんが登場されていた。
「気になった本は買っておく」「今まで本がなかったところ(病院や百貨店など)に本を置くことに意義を感じる」(大意)などの発言に大変共感。なにより、本というメディアを愛していて、本を媒介に人と人がつながったり、世界が広がったりすることに大きな信頼を置いていることに大いに共感する。
http://www.mbs.jp/jounetsu/2008/10_19.shtml

朝日新聞の朝刊(2008年10月21日)を読んでいて、大江健三郎の連載に目が留まる。幾つもの引用や読書体験を例示しながら、話は迂回しているかに見えるが、最後には一つのメッセージが伝わってくる。文学者らしい、あるいは大江健三郎らしい、あるいは朝日新聞らしい文章。
一言で言ってしまうと、核戦争に進むせよ、反対に平和を志向するにせよ、それらは国家という組織によって推進されているように見えるけれど、実のところ、それらを推進しているのは、個々人の選択や営為の積み重ねである。だから、個人が自らの倫理観として平和を志向するという道に期待したい、という話だと思う。
そうしたメッセージが、科学者の評伝からの引用や大江氏自身の読書体験を散りばめて書かれており、要約不可能な充実した文章になっている。
ちなみに、僕自身が仕事で関わっている雑誌は実用的な専門誌なので、原稿を書く場合、基本的に“分かりやすい”“シンプル”“客観的”“中立的”“要約的”であることが求められるけれど、それ以外の書き方でも、こうして力強く読者に届く文章がつくれるということは心の片隅に置いておきたい。

ネットラジオで「ORS - Latin Pop Rock Top 40 Hits」というラジオ放送を聴きながら、家で仕事をしていたのだが、ここの選曲が実に素晴らしい!
情熱と哀愁が同居する“いかにも”というベタなラテンポップスとラテンロックが次々流れる。聴く者を、ロマンチックで壮大な気分にさせてくれるだろう。そうなると、やはり車の中で聴きたいものだ。
ただ、ラテンと言いながら、スペイン語の曲ばかりである。スペインの放送局だから仕方ないが、ぜひフランス、イタリア、ポルトガルなどの曲も織り交ぜてもらえるとうれしい。イタリアのディーヴァ、Laura Pausiniの曲さえもスペイン語版のほうがが流れていた。イタリアの歌手がスペイン語で歌うなら、東京の歌手が関西弁で歌うようなものだろうから、さほど苦はないだろう。

■ツタヤで借りてきた「古今亭志ん朝」の「二番煎じ」というCDを聴きながら、寝る。
火の用心のため町内を廻る町人たちが、番小屋で休みながら、禁じられていた酒を結局飲んでしまう話。僕自身は酒好きでないのだが、それでも、志ん朝の噺からは、冬の寒い日に酒好きが熱燗を飲む時の幸せそうな情景が伝わってくる。自分にとって、これほどの「やめられない楽しみ」はいったい何だろうか。
ついでに、「三遊亭金馬」の「居酒屋」という噺も聞く。どちらの噺も、酒はどんなシチュエーションで飲むかが大変重要なのだと思わせる。

■ところで、初対面の人とあった場合、相手が名刺をきらしているとする。こちらだけが名刺を渡す。「今度、メールしときますから」と言われる。そして、その後、実際にメールをくださる人は、経験的な確率で言うと、50人に一人くらいだろうか。だから、その一人は、大変印象に残る。

■大阪のとある商業施設がリニューアルしたようだ。今度、大阪出張がある際に立ち寄ってみよう。
http://www.e-ma-bldg.com/index.html

■ぜひ行きたい展示のメモを一つ。

 droog NOW
 場所:happa
 期間:2008年10月30日(木)〜11月22日(土)
 開館時間:12:00-20:00
 お休み:日祝お休み ※10月30日・31日・11月1日・2日・3日は日祝営業