先ほど、とても興味深いブティックの内覧会に行ってきました。

明日、3月16日、渋谷にオープンする「DESPERADO」。2000年に開業した店舗が生まれ変わりました。

「商店建築」編集部としては、まずは内装に注目。
空間のデザインコンセプトは、「三ツ星ホテルと原っぱ」。設計を手掛けたのは、ima(イマ)の小林恭さんと小林マナさん。
ホテルをイメージした店内には、中央にゆったりしたロビースペース、そして、それを囲むように客室になぞらえた三つの部屋があり、それぞれに異なる世界観を持っています。

什器やパーティションはすべて可動式で、店内をがらんどうにすることも可能です。そう、原っぱのように、使う人(お店の方々やお客さん)の発想力次第で自由な使い方を許容するフレキシブルな空間なのです。
さらに、店内の一角にはギャラリーがあり、店前の屋外スペースには小屋があったり、プールを模したテラスがあったり、楽しさ満点です。この空間を見た人はきっと「ここで何か面白いことをやってみたい」と思う。そんな、人を触発する空間でした。これからどんなふうに使われるのか、とても楽しみです。
 
この店舗の第一印象として、「散策する楽しみがある」と感じました。空間はざっくりした開放的な雰囲気で、店の内外に多様な性格や機能のスペースがあり、そこをぶらぶら歩きまわりながら、そこにあるものを眺めているだけで、まずは楽しい。気持ちいいゴチャゴチャ感とでも言えそうな世界が演出されています。
そう考えてみると、つい先日も、この楽しさをどこかで味わったことを思い出しました。原宿にオープンした「タケオキクチ 渋谷明治通り本店」(設計/スキーマ建築計画、商店建築2013年2月号)です。そこでも、物販店にカフェやアトリエが併設されており、人々は、必ずしも服を買うためだけでなく、緩やかな目的意識を持って、そのブランドの世界観に浸りながら店内を散策できる。
二つの店舗に共通する手法を感じました。これらの店舗から、ネット時代に、あえてリアル店舗に立ち寄ってもらうための戦略が見いだせそうです。
 
なお、DESPERADOの店内に置かれているのは、バイヤーの泉英一さんがセレクトした洋服や雑貨。洋服は、明るくふんわりした印象。雑貨類は、時間が積層したような味わいを感じさせるテイストでした。商品を見ているだけで、明るい気持ちになる。そんなセレクトのように見えます。

晴れた週末の街歩きの際に、ぜひどうぞ。