ゆめタウン広島 平和記念公園 サポーズデザインオフィス

広島へ。

広島市南区皆実町に建設中の大型ショッピングセンター「ゆめタウン広島」内にて、某物販店を撮影。施設のオープン予定は、2008年2月22日。場所は、JT広島工場跡地で、路面電車で行くなら「皆実町6丁目」が最寄り。広島駅から10分くらい。

物販店の撮影は、設計事務所の方のご協力をいただき、順調に完了。若手建築家による設計で、レギュラーな要素とイレギュラーな要素が、予想外の空間(時間)体験を生む。詳細をお伝えできず大変残念ですが、弊誌4月号でご覧ください。

なお、「ゆめタウン広島」の運営は、株式会社イズミ。
http://www.izumi.co.jp/index.html

■その後、ホテルで少々休息し、夜の「平和記念公園」へ。「広島平和記念資料館」「原爆死没者慰霊碑」「原爆ドーム」「平和の門」などを見る。ほとんど人がいなくて、静か。これらの施設の背景にある「原爆投下」というエピソードがあまりに強烈で、なかなか一つひとつの造形やデザインに意識を向けることが難しい。建物やオブジェクトの配置がつくりだす明快な軸が、緊張感を生む。

そのまま歩いて、設計事務所「サポーズデザインオフィス」へ。川沿いの穏やかな場所に立つビルの3階。谷尻誠さん、吉田愛さんに最近のお仕事について伺う。取材時に電話でしかお話したことのなかった所員の島谷さん前田さんとも、ご挨拶。事務所内では10人弱の若い所員が黙々と働いており、建築家学科の研究室のような雰囲気。
谷尻さんと所員さんの会話を目撃し、興味深かった。谷尻さんが所員さんの図面か何かを見て、「そういう方向に進めたくなる気持ちはよく分かるが、もっと他の解決があるのではないか」というようなことを話していた。ギリギリまでヒントを与えるが、答えは言わず、担当者に自発的に考えさせながら進めているという印象を受ける。
青木淳さんが、ある雑誌で「磯崎さんは、まったくスタッフの意見を求めない」と言っていた。アトリエ事務所にもいろいろなスタイルがある。
もっとも谷尻さんも、すべての物件に関して、基本的なプランニングや造形は自分で手掛けている。

その後、谷尻さん吉田さんとともに、サポーズデザイン行きつけのお好み焼き店「童 ワラベ」へ。広島風お好み焼きは、焼きそば部分が細く繊細で、美味しい。牡蠣の鉄板焼きも味わい深い。そもそも、東京で食べる牡蠣の2倍くらいの大きさがあり、びっくり。こじんまりした店内で、居心地がよく、人と人との距離感も近い。
広島へ行かれた際は、おすすめです。

 「童 ワラベ」
 広島市西区観音本町1-15-14
 082-291-6535

その後、サポーズデザイン設計による「cafe bar ロクスタ」(広島市中区立町5-17-2F)へ連れて行っていただく。そこで、東京からいらしたライターさんやpapierlaboの武井さん、広島で活動されているファッションデザイナーさん、ギャラリー&ショップの方などとお会いする。みなさん穏やかで、ほどよくハイテンション。

谷尻さんがみんなにスケッチブックを見せてくれた。日頃、思いついた空想や進行中のプロジェクトのスタディを書き留めているそうだが、これまた興味深い。日常生活で見掛たものを、突拍子もない方向へ拡張したりして、まったく新しい空間を夢想している。そこには、旧来の建築家的な、「都市の現況は悪であって、建築家がものつくることで、その悪を改善するのだ」というスタンスがまるでない。日常の風景をわりと肯定的に眺めていて、「こうしたら、面白くなるんじゃないか」と、そっと現状をファンタスティックな方向へ後押ししている。肯定的で自由でオープンなそのスタンスは、設計をするときも、所員へ接するときも、他人と会話をするときも、おそらく共通している。

初めて訪れた地で、こうしたクリエーターの結節点のようなお店に行けるのは、大変嬉しいことである。明け方4時頃、解散。

 http://www.suppose.jp/
 http://smak.exblog.jp/