『業界が一変するBIM建設革命』

『業界が一変するBIM建設革命』(山梨知彦/日本実業出版社)を読む。

いまでは建設業界で、図面がコンピューターで描かれるのが当たり前だが、そのデータを一元管理して、みんな(意匠設計者、構造設計者、設備設計者などなど)で共有しようという動きが「BIM(Building Information Model または Modeling)」。

国内外のBIMの現況が概観できて便利。
日々の業務でCADやモデリングソフトを使っている設計者の方々は体感的に理解している内容かもしれないが、そうでない人には、コンパクトにBIMのメリットと課題が分かる。
メリットは、コスト積算や環境負荷のシミュレーションが容易にできることなど。
課題は、設計の上流工程(主に意匠設計担当者の仕事)の負担が増加し、下流肯定(主に施工担当者の仕事)の負担が軽減されるが、それに応じて報酬の配分も変更すべきか、など。

興味深かったのは、「アメリカでの潮流は、『オープンスタンダード』という方向に進んでいる」(P.145)という話。図面データを共有する際に、2つの方法がある。一つは、みんなで同じソフトウェアを使う方法。もう一つは、みんな別々のソフトウェアを使うかわりに、共有するデータのフォーマットだけは統一しておいて、どんなソフトウェアを使ってもデータを利用できるようにしておく方法。後者の考え方を「オープンスタンダード」と呼ぶ。これは、多くの人種が集まって暮らすかわりに、英語という言語で統一しておこうというアメリカ的な発想だという気がした。

いずれにせよ、早い時期にこういう概論的な本が出たことに価値があるだろう。

BIM建設革命

BIM建設革命