◆初台にて、ある成長企業の新オフィスを見学。もうすぐ竣工。

設計を手掛けたのは、建築家の久保秀朗さんと都島有美さんが主宰する「久保都島建築設計事務所」(www.kbtsm.com)。
お二人の明快な解説をうかがいながら、広いフロアをじっくり見学。
来客とのミーティングスペースはもちろんのこと、社内のコミュニケーションスペースやミーティングスペースが大変充実していました。思わず「こんなオフィスで働いたら、いいアイデアがどんどん出そうだ」とつぶやいてしまうほど。機能的にもデザイン的にも、見どころの多いオフィスでした。
  
一般にオフィス空間は、日々長時間を過ごす空間であるため、さほど強いデザインを求められにくい。しかも、店舗デザインと違い、内装に資金をかけたからといって、売り上げに結びつかない(と一般に思われている)。現在、うまく効果測定ができてないだけで、実際には、オフィスデザインに資金を投資し、良いデザインができれば、その企業の売り上げは上がるでしょう。
そんなわけで、オフィスの設計においては、さほどデザインできる要素が多くないのですが、そうした状況の中で、この初台のオフィスは、コストを抑えながらも、実に多くのデザイン的工夫が盛り込まれています。
特に私が好感を持った点は、「コミュニケーションの森」というコンセプトが、機能的にも意匠的にも、具現化されていた点です。
まず即物的な面を見れば、木材や緑色が多く使われている点が「森」なわけですが、むしろ重要なのは、「森」が持つ雰囲気とエッセンスがオフィス機能として表現されている点です。ランダムさ、自由さ、ウロウロする楽しさ、人とコミュニケーションを取りたくなるなる温かい雰囲気、意外なものに遭遇する驚き。森からポジティブなイメージを抽出すると、そんな要素が挙げられます。そうした要素が、明るい窓際に設置された様々な高さや大きさのテーブル、三つの部署の中央に設けられた可動テーブルの打ち合わせエリアなどとして、具現化されています。
オフィシャルの写真がアップされたら、またリンクなど貼ろうと思います。
  
取材で多くのオフィスを視察していると、ここ5年くらいの大きなテーマとして、「社内のコミュニケーションをいかに活性化するか」という課題が挙げられます。それ以前には、社外に対するブランディング効果や効率的なワークスペースという課題の方に、もっと比重があったように思います。もちろん、依然としてそれらも重要課題なのですが、設計者さんたちに現場で話を伺っていると、それ以上に、社内コミュニケーションのための仕掛けに重点を置いている様子が伝わってきます。
例えば、2年くらい前に新丸ビルの中に移転した旭硝子のオフィスなどは、社員同士の接点となるドリンクカウンターが広く設けられており、印象的でした。