海外電話取材 『ソシュール入門』

■一日、休養。
夜、海外のデザイナーさんに簡単に電話取材。


■『ソシュール入門』(町田健光文社新書)を読む。

先日読んだ町田健さんの『言語世界地図』が抜群に面白かったので、こちらも読んでみた。言語に興味のある人はもちろん、物事を分解して分析するということに興味のある人にも、そのモデルケースとしても参考になるだろう。

全体に、ソシュールの提示したキーワードや分析手法を解説しながら、「大まかに言うと、言語学っていうのは、こんなことを研究しているんだよ」と教えてくれる一冊。

前半で面白かったのは、「ソシュールにとって、印欧祖語の研究もラングの研究も同じモチベーションに基づいていたのだろう」と分かったこと。
つまり、印欧祖語もラングも、「直に触れることはできない、仮想された超越的なルール体系」という意味で同じ存在。
「ラング」と「パロール」の関係は、「印欧祖語」と「そこから派生して現在使われている諸言語(イタリア語・フランス語・スペイン語・ドイツ語・ロシア語・ギリシア語などなど)」の関係と同型。

後半で面白かったのは、今まで、「ある言葉(単語や形態素)の意味は、その言語内の他の言葉(単語や形態素)の意味との関係性により決定される」というようなことをソシュールが言ったとしか理解していなかったが、その「関係性」の中身が、「連合関係」と「連辞関係」という二種類に分けて議論されていると分かったこと。
それについて、終盤でかなり丁寧に説明されている。

どういう分野であれ、具体的な事象を超越的な原理で説明し尽くそうとする試みは、エキサイティングである。ソシュール言語学がそういう分野だと感じられたことが、本書の大きな収穫だった。

コトバの謎解き ソシュール入門 (光文社新書)

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