『ビューティフルピープル〜』 星空の中へ オンキョーPC

■昨年、新聞の書評欄を読んでいたら、ある漫画が紹介されており、面白そうだった。そこで同僚Tくんと食事をしながら、その漫画について「タイトルは忘れたが、整形手術や性転換が当たり前になった未来社会を描いた漫画があり、面白そうだ」と話してみた。すると、彼がさっそく翌日にその漫画を僕に貸してくれた。彼は、以前に漫画の編集プロダクションで働いていた経歴があり、漫画に大変詳しい。

さてその漫画とは、『ビューティフルピープル・パーフェクトワールド』という作品。大変面白い。先日読んだ『非モテ!』(三浦展)でも仔細に分析されていたが、いま僕たちは、容姿の良し悪しに束縛される(ように感じさせられる)社会を生きている。『ビューティフルピープル』の舞台は、そんな容姿の束縛からほぼ完全に解放された社会ではあるのだが、人々が苦悩から解放されたようには見えない。容姿以外の問題がクローズアップされ、同じく苦悩するからだ。そして、容姿に関しても、選択肢が無限になった分だけ、その容姿でいる必然性を失い、むしろそれは新たな悩みのタネとなる。また、意中の男性に愛されるために、その男性が愛した女性と同じ容姿へと整形する女性も登場する。しかし、他人の外見に変貌することによって愛されたところで、「この私は私なのか」「私が愛されていると言えるのか」という種類の疑問が浮上する。

多くのことを考えさせてくれる漫画だ。この作品の魅力は、極端な状況設定ではあるがそれが決して荒唐無稽でないという部分にあると感じた。つまり、現実を極端に推し進めた設定なのだ。実際、新聞や雑誌にアンチエイジングの美容ドリンクなどの広告が踊り、「わたし、これで50歳です」などと言いながら皺のない奇妙なおばさんが登場しているが、あの世界観は、本書の世界と大差ない。

ところで、昨年末、東京都の青少年育成条例の改正案が強引に可決されたが、本書などは、規制の対象になるのかどうか判断の難しい作品だろう。年齢は30代なのに整形手術によって小学生のような容姿になっている人物も登場するのだから。また、「刑罰法規に触れる性交もしくは性交類似行為」に該当しそうなシーンも登場するが、それを賛美していると見るか批判的に描いていると見るか、意見が分かれそうだ。
いずれにしても、素晴らしい力作。

ビューティフルピープル・パーフェクトワールド (IKKI COMIX)

ビューティフルピープル・パーフェクトワールド (IKKI COMIX)

■建築家の小川達也さん(株式会社16アーキテクツ)から、大分のホテルの温浴施設「ザアクアガーデン」の完成のお知らせをいただく。
本格的屋外型の予防医療型温浴施設だそう。ロケーションもよく、これは最高にリラックスできそうだ。
http://16a.jp/archives/2010/12/theaquagarden_suginoi_hotel.php

ちなみに、小川さんがデザインした渋谷の居酒屋「つまみや7・14」は、本に囲まれた大変居心地のいいお店。
http://r.tabelog.com/tokyo/A1303/A130301/13111832/

■「一級建築士事務所 Drawing notes」を主宰する平井充さんから事務所お引越しのお知らせをいただく。
予定が重なり、引越しパーティーにはお邪魔できなかったが、改めてお邪魔してみたい。
平井さんは、コンペでも多く受賞している若手の建築家さん。要注目。
http://www.drawing-notes.jp/

■BACH幅さんから、WEB上の本屋「SONY Reader Store」の店づくりに協力したとのお知らせをいただく。
http://ebookstore.sony.jp/

■以下のお知らせをいただく。
グエナエル・ニコラさんの事務所キュリオシティから、「MIXX バー&ラウンジ」がANAインターコンチネンタルホテル東京36階にオープンしたお知らせをいただく。「600平米にも及ぶ都内ホテル最大級のバーラウンジ」だそう。夜景を眺めながら一杯いかがでしょうか。
http://www.curiosity.jp/magazine/jpn/101206/101206.html
http://www.anaintercontinental-tokyo.jp/mixx/index.html

■書き忘れていたが、昨年、野村ビル50階の「星空の中へ」へ行ってみた。
同じような業態の店と比較するとやや単価が高いかもしれないが、美味しくて夜景もよし。席配置もわりとゆとりがあり、ゆっくり話ができる。
しかし考えてみると、夜景を見ながら飲んだり食べたりするということ自体、「シンプル族」の若者には流行らないかもしれない。夜景より猥雑感を求めるのだろう。
http://www.nomura-shop.com/restaurant/hosizoranonakae.html
http://r.gnavi.co.jp/g600181/

■昨年秋、町田瑞穂さんにお会いし、日野市の住宅のインテリアをリフォームした事例についてお話をうかがう。キッチン、ダイニング、リビングが連続して、広々としたカフェのような大変気持よさそうな住空間。打ち合わせ時のリアルな3D描画ソフトは、クライアントの心をひきつけるようだ。

東急文化村ミュージアムで「SO+ZO展」を見る。
http://www.bunkamura.co.jp/museum/lineup/shosai_10_sozo.html

■年末、大学時代の友人たち4人が新宿三丁目で飲むというので、駆けつけた。23時過ぎに入稿作業を終え、急いでタクシーで移動。30分くらいだったが、久しぶりに顔を見られてよかった。みんなそれぞれ設計事務所に勤務したりして、建築の世界でがんばっている。日々の仕事に追われつつ、将来のことも気になったりしているようだ。今度はじっくり飲みたい。

■テレビで、映画「クレージーキャッツ 奇想天外」を見る。
素晴らしい。テンポがいい。風刺がきいて、ウィットに富んだ笑い。
宇宙人や精神病院から抜け出してきた人のほうが、真っ当で正しいことを言い、むしろ社会の欺瞞や異常さが際立つという設定の作品だった。

■昨年11月頃、自宅のパソコンの調子が悪くなり、オンキョーのデスクトップ型PCに買い換えてみた。最近、多くのデスクトップPCがモバイル用のCPUを採用しているようだが、これはモバイル用でないので安定感があるかと思って選んだ。スペックをカスタマイズできるのはうれしい。23型のワイドディスプレイとワイヤレスマウス&キーボードも気持ちいい。
しかし、初日からいくつか気になる不具合が起こった。特に一日一回フリーズするのは問題である。近々、リカバリー作業をしてみよう。
パソコンというのは高い買い物だから、これではオンキョーのPCは現時点ではとても他人にはすすめられない。

三越劇場で開催された「第74回日経健康セミナー21『今、増え続ける潰瘍性大腸炎。〜日本の治療はどこまで進歩しているか?』」へ。
2階席まで満員で盛況。 充実した内容。
各パネラーの先生方はとても平易な語り口で、研究と治療の現状をレクチャー。(メモしたノートが手元にないので、詳細を書けず残念)
特に、「レミケード」という薬により、手術をせずともQOL(生活の質)を改善できるという可能性について言及されていた。もちろん、このイベントの協賛企業が、レミケードを扱う田辺三菱製薬だから、レミケードをプロモーションするのは当たり前だが、それを割り引いても、レミケードは可能性があるかもしれないと感じた。
http://adnet.nikkei.co.jp/e/event.asp?e=00275

■『カント入門』(石川文康/ちくま新書)を読む。
「世界は空間・時間的に無限であるか、それとも有限であるか」という問いは両者とも不合理をはらむという「第一アンチノミー」の話題から、なめらかに、「純粋理性批判」の出発点となる「空間と時間は主観の形式である」という発想へ話題が発展していく。
その他「カテゴリー」「道徳法則」「最高善」など、カントの広範な理論体系がコンパクトにまとめられており、おすすめの一冊。
形式性や厳格さというカントの世界観もつかみやすい。カントの著書を読みながら、時々本書を見返してみるとよいかもしれない。
カントの言う「ア・プリオリ」をなんとなく生得的観念だと勘違いしていたが、そうではなく、「経験に由来しない」という意味に過ぎないと書かれていた。
それにしても、ちくま新書の入門シリーズは、どれもよくできていると思う。

カント入門 (ちくま新書)

カント入門 (ちくま新書)