カヤバ珈琲 倉俣史朗とエットレ・ソットサス テラダモケイ

こんにちは。

■カヤバ珈琲にて、座談会の取材。マーケティングアナリストの三浦展さん、トランジットジェネラルオフィスの中村貞裕さん、建築家の永山祐子さんにお集まりいただき、濃密な鼎談を展開していただく。話題は、店作りを軸に、リノベーションからツイッターまで幅ひろく。
ご参加いただいたお三方も楽しんでくださったようで、何よりだ。もちろん読者の方々に楽しんでいただくのが最も重要な目的なのだが、一方で、対談や鼎談を企画するときは、まずご登場いただくゲスト自身にも「新しい刺激を受けた」「勉強になった」「他の参加者に触発されて、自分の思考が深化した」と感じていただけそうかどうかも、一つのポイントだと思っている。

ところで、学生時代から三浦さんのご著書が好きで、以前から何らかの形で取材させていただきたいと思っていた僕としては、この企画が実現して大変うれしい。「いろいろな空間がカフェ化している」とおっしゃる三浦さんにヒントを得て、カフェやホテルをはじめとする「遊び場づくり」を仕掛け続けて多くの人々を楽しませている中村さんにご登場いただくことを考えた。さらに、リノベーションの価値に注目する三浦さんと化学反応が起きそうな、巧みなリノベーション設計を手掛けられた永山さんにご登場いただいた。これで盛り上がらないはずがない。
詳しくは、4月号にて。
ご参加いただいたみなさま、お忙しい中、本当にどうもありがとうございました。

ちなみに、建築関係の方はご存じの方も多いかもしれないが、会場として使わせていただいた「カヤバ珈琲」は、永山祐子さんの設計でリノベーションされた、とても素敵な喫茶店。三浦さんも、「どの部分がリノベーションされたのか探すのも面白みの一つだね」とおっしゃっていたが、まさにそのくらいさり気なくリノベーションされている。谷根千エリアを散歩される際には、大変おすすめのお店。

http://kayaba-coffee.com
http://www.culturestudies.jp
http://www.transit-web.com
http://www.yukonagayama.co.jp

■代官山にて「アスプルンド」のショップへ。代官山からも恵比寿からも歩ける便利な立地。
アスプルンドは、家具の輸入&製造を手がける会社。店舗で使用するための大量の家具を受注製作するコントラクト事業部もある。
店内はゆったりしたスペースで、家具が住空間のような演出の中にさり気なく置かれているので、「このソファとこの棚は一緒に使うと合いそうだな」などとイメージが広がる。住宅や店舗の設計者がクライアントと一緒に訪れて家具を探しつつ打ち合わせ、なんていう使い方もいいかもしれない。

まずは、目立つところに「HALO」の家具。HALOは、ハンドメイドによるヴィンテージ風の革ソファやトランクを製造するイギリス発のブランド。最近、ブティックなどのディスプレイにも使われて、人気のブランド。リノベーション住宅などにも合いそうだ。
イタリアのアウトドア家具ブランド「emu」の製品も置かれている。このブランドの製品は、和風旅館のリニューアル時にテラスに置いたりして使えそうだ。
オランダのブランドの、アンティーク木板とパイプを組み合わせた家具も、ラフで味わいがある。デザイナーの事務所の打ち合わせテーブルなどに似合いそうだ。こういうテーブルにマックのパソコンなどを置くと、コントラストが気持ちいいかもしれない。
あと、「エアロコンセプト」というメーカーのアイテムもかっこいい。エアロコンセプトは、航空機の製造技術を応用して、アルミ合金と皮革で名刺入れやアタッシュケースを製造している日本のメーカー。男性なら、このメカニックな感じが好きな人は多いだろう。
いずれの商品も、つい触りたくなる質感や時間が滲み込みそうな素材感が特徴だ。昨年取材させていただいたアスプルンドの嶋本社長が、時代が求めるデザインに関して嗅覚の鋭い方なので、こうした質感や素材感ある商品がセレクトされている背景には、嶋本社長の洞察とディレクションが大いに作用しているに違いない、と感じた。

http://www.asplund.co.jp/index.html
http://www.seimitu.com/main/products/ac_products.html







■六本木の2121デザインサイトにて、「倉俣史朗エットレ・ソットサス」展のプレス内覧会へ。
とてもおすすめの展覧会。
倉俣史朗さんの家具作品の実物を間近でまとめて見られる貴重な機会だ。80年代の作品がだいたい年代順に並んでいる。前半と後半が、展示台の間接光の色(黄色とピンク)で判別しやすいよう会場デザインがなされている。
欲を言えば、空間設計の仕事も写真や映像でもう少し見られたら、より一層多角的に倉俣さんの世界を感じることができたかもしれないが、家具だけでも十分に見ごたえがある。
倉俣さんの家具作品をまとめて見ていたら、倉俣さんは「そこにあるはずのものが不在である」という状況をデザインを通して生み出し続けていた人なのかもしれない、とふと感じた。何度か訪れて、じっくり見たい展覧会だ。
http://www.2121designsight.jp




■デザインサイトから、タクシーを飛ばして近藤康夫さんの事務所へ。取材でお話をうかがう。とても勉強になる。

■AXISビルで、「テラダモケイ」の設立発表会へ。
テラダモケイとは、建築家の寺田尚樹さんと「かみの工作所」が設立した新ブランドで、「建築模型用添景セット」シリーズを開発し、販売している。

寺田さんご自身が徹夜で建築模型を制作しているときに、「夜が明ける頃に、模型の仕上げとして、1/100スケールくらいの人や家具や植栽をつくらねばならないわけだが、この作業がツライ」と感じ、その作業を簡易化するために、添景をプラモデルのようにパターン化してストックしておくことを思いついたという。ところが、それだけで終わらないのが寺田さんのスゴイところ。少年時代からプラモデルが大好きだった寺田さんは、添景で多様な風景を表現できることに開眼する。たとえば、東京の街角や、電車とホームの風景を作り始める。さらには、模型や添景から建築のデザインを考えるという、従来と逆方向の発想をしてみたり、添景からピクトやサイン計画を発想してみたりと、どんどんアイデアが発展していく。
そして、この添景シリーズは、意外にも、建築関係者だけでなく、一般の人からも好評だという。
そんなわけで、テラダモケイの設立にいたったようだ。

僕にとって寺田さんの魅力の一つは、「大真面目に一生懸命に遊んでいる人である」という点だ。だから、寺田さんのつくる空間や家具は、いつも人を楽しい気持ちにさせてくれる。大人になって仕事をするようになると、いつの間に「○○したい」より「○○しなくてはならない」という発想で動きがちになり、生活の大半がルーチン化し、遊ぶことを忘れる。でも、寺田さんは遊ぶことを忘れていないように見える。そんな寺田さんの着眼点にいつも驚く。

www.teradamokei.jp










■なぜか、ラーメンが食べてくなり、六本木「一蘭」でラーメンを食べる。細麺が美味しい。


■帰社して、打ち合わせやメール返信。

■カメラマンの傍島利浩さんが来社くださり、撮影された作品をたくさん見せていただく。硬軟織り交ぜ、さまざまなシチュエーションで空間撮影をなさっているが、柔軟に表現の仕方を変えて撮影されているようだ。機会をつくって、ぜひお仕事をご一緒できたらと思う。
http://www.sobajimax.com/


■社内打ち合わせ。