音のかたち展

こんにちわ。

■新宿の柿傳ギャラリーにて「音のかたち展 −5人のクリエイタ―による 見えない世界への挑戦−」を見る。
「五感とデザインの関係性」をテーマにした展覧会プロジェクトの第3弾で、今回のテーマは「音」。6人のクリエーターが参加。







橋本夕紀夫さんの「踊る鳥獣戯画」は、音に合わせて小さなフィギュアが踊る。和風とヒップホップが合わさったような世界。
今村創平さんの「Music model」は、バッハの平均律クラヴィーアの旋律を木片のモデルで視覚化した作品。曲を聴きながら、その曲の構造を視覚的にも鑑賞するという作品。
松下計さんの「オトノモリ」は、周波数を手がかりに音を数値化し、デジタルディスプレイ上に視覚化する作品。周囲の音も拾ってインタラクティブに反応しているようだ。
皆川明さんの「耳を住まわせば」は、プリミティブな器具で人間の聴覚を少し拡張してみようという作品。実際に体験できるわけではないが、むしろ、それゆえ、イマジネーションが広がる。ストーリー性もある。今回の展示会の中で、この皆川さんの作品だけは、作品自体が何も音を発しないという点で独創的だった。


しかし上記4作品はいずれも、音を視覚的に展示しているという点で共通している。せっかく「音」がテーマなのだから、視覚に頼らず聴覚だけで体感できる作品であれば、音のおもしろさをもっと追求できるのではないかと感じた。
その点で、西森陸雄さんの「音のキセキ」は「音」そのものの体験を扱っていた。曲面を使って音の反射装置と集音装置をつくり、空間の構成次第で、小さな音も遠くへ伝達するのだということを体験させる。シンプルな原理の作品だが、「音がどのように聞こえるか」は「空間がどのような素材や形状で作られているか」に依存するということを再認識させる点で興味深かった。


とすれば、逆の発想で、「空間がどのような素材や形状で作られているように感じるか」は、「音をどのように聞かせるか」によってコントロールできるはずだ。空間が音の在り方を決めるのなら、音が空間の在り方を決めることも可能かもしれない。(実際に、そういう例が商業施設でも目立つようになったので、先日「これからの商空間サウンドデザイン」という特集を企画した。「月刊 商店建築」2010年11月号参照)


今回、その「音が空間の在り方を決める」という視点で制作された作品は、ゲスト参加の「Taro Peter Little」さんの作品だけだったと言える。そんなわけで、Taroさんの作品をぜひ体験したかったのだが、なんと初日にもかかわらず故障しており、体験できなかった。その作品は、階段室に設置されたいくつものスピーカーから音が出ており、ある場所では、音の波長が干渉し合い、無音になるという作品だそうだ。ん〜、残念。


いずれにせよ、興味深いテーマだから、第4弾も楽しみだ。


http://www.kakiden.com/gallery/archives/3415/
http://taropeterlittle.com/