平日でしたが、ランチタイムには店の外にウェイティングの客が4組ほど。店内を見回すと、9割以上が女性客。
コンセプトは、「ネイバーフッドなコミュニティの場」。店名の通り、タルトが看板メニューです。
フードの特徴は、武蔵野の採れたて野菜や武蔵野小麦の「彩奥義(さいおうぎ)」など、吉祥寺近郊の食材を多く使っていること。
「むさしの野菜のサラダタルトフランベ」(980円)をいただきました(不覚にも写真を撮り忘れました、、、)。タルトフランベの生地は手作り。これは美味しい。武蔵野の地たまごを使ったブリオッシュフレンチトーストも大変気になるので、次回は、これを食べてみたい。
このカフェは、居心地もメニューも実に素晴らしい。まだオープンして間もないためか、店員さんのサービスが少々固い印象を受けますが、カフェづくりのヒントがいろいろ発見できるお店です。特に、区画内にエスカレーターや階段の裏側が2カ所あり、決して良い区画とは言えませんが、そのネガティブな条件を見事に居心地の良さに転換している点が参考になります。通常、こうした天井高の著しく低い部分は、倉庫などにしてしまうところですが、そこを敢えて客席にするという逆転の発想です。
また、共用部への「開き方」が絶妙です。アトレの共用エリアにテーブルやイスを出したり、店内と共用エリアを仕切るパーティションを最小限にとどめたりと、店の内外の境界を曖昧にする仕掛けが見てとれます。そのため、大変入店しやすい印象を生み出しています。
さらに店内の賑わいが外へよく見えるので、集客効果を生んでいるように見えます。こうしたくうかの「開き方」に関しては、このカフェ1店舗のみでできることではなく、むしろ共用エリアの管理者であるアトレ吉祥寺の英断を大いに評価すべきです。飲食店の客席をこれほど共用エリアに越境させるためには、おそらく保健所の検査に対して十分な説明や対応策を練って実現したのではないかと推測できます。そのあたりについては、機会を見つけて聞いてみたいところ。
一般的な話をすると、ここ4、5年、カジュアルな飲食店(カフェ、バー、ダイニング)の設計において最も重要な課題は、「イス、テーブル、そして賑わいを、店の内外を仕切る境界線から越境させ、いかに前面道路や共用エリアにはみ出させるか」です。別の言い方をすれば、「いかに境界を曖昧にするか」。これが重要課題です。タルタートは、その課題への答え方の見本として参考になります。
また、タルタートの中に、カップケーキとスコーンの店「Fairycake Fair(フェアリーケーキフェア)」がショップインショップの形で入店しています。これも、入店しやすさに繋がっています。なぜなら、ショップインショップの効果により、「どこまでが一つの店なのか」という境界線の設定をよりいっそう曖昧化することができるからです。
さて、現在、タルタートのバスターミナル側エントランスの前で工事が行われているため、バスターミナルからの視認性がよくありません。しかし、この工事が終わる来年春頃からは、バスターミナルに対して店内がよく見えるようになり、このカフェの認知度がますます高まります。それに伴い、集客力がますます上がるでしょう。
頻繁に通いたいカフェですが、土日は相当に混むことを覚悟しなくては。。。
タルタートの経営はコンテンポラリープランニングセンター(CPセンター、http://www.cporganizing.com)。空間づくりは、CPセンターと、空間デザイナーの大園貴生さん(salt.)が手掛けました。
CPセンターが運営したり設計したりするカフェの中に、「頻繁に通いたい」と思わせる店が実に多くあります。
TarTarT
東京都武蔵野市吉祥寺南町 1-1-24
アトレ吉祥寺1F 2番街
TEL&FAX 0422-22-1495
http://www.cporganizing.com/tartart/