昨年末、東京・新宿に「新宿グランベルホテル」がオープンしました。

4カ月ほど経ってしまいましたが、とても魅力的なホテルなので、改めてここでレポートいたします。
 
開業は、2013年12月18日。
グランベルホテルというブランドはいわゆる宿泊特化型ホテルで、2006年に「渋谷」(105室)と「赤坂」(61室)が開業しました。今回はそれらに続く3店目。いずれもデザイン性の高さが特徴です。
「新宿」の客室数は、380室。
コンセプトは、「アジアのNEXT ARTIST × HOTEL」。スイートルーム4室やエグゼクティブルーム32室をはじめ、館内の空間デザインに、日本、韓国、香港などのデザイナーやアーティストが参画しています。
  
 
客室バリエーションの豊富さは、リピーターの獲得に繋がりそうです。シングル、ダブル、ツインの標準客室には、広めのワークデスクを設置したビジネス仕様の客室と、ソファを設置したカジュアルな客室の2つのバリエーションを用意しています。それらの標準客室に加えて、空間のデザインや家具のセレクションに個性を持たせたコンセプチュアルな客室が、多数設けられています。
例えば、ロフト形式の客室の一部では、プロジェクターでスクリーンに映像を投影して映画鑑賞などができます。この部屋は特別感にあふれていました。
日本や香港のアーティストがデザインした部屋では、アート作品の中に宿泊するような非日常性を体験できます。
  
パブリックスペースも、充実しています。1階には、ゆったりしたカフェとロビーラウンジ。12階には眺めの良いレストラン。13階には、屋上テラスと一体化したバー。シングルルームに宿泊したお客さんも、館内をトータルに満喫することによって、高い満足度を得られそうです。
  
   
では、以下に、項目別の簡単な感想メモを残しておきましょう。
  
【立地について】
歌舞伎町ですから、まわりは、ラブホテルだらけ。東新宿駅から歩くとラブホテル街を歩く距離が最も短くて済みます。いずれにしても、ラブホ街を通らずにこのホテルにアクセスすることはできないので、もしかすると、こうした立地が女性客の獲得にとってハードルになるかもしれません。むしろ、歌舞伎町というエリアにアレルギーが無さそうな外国からの旅行者には訴求しやすいでしょう。
あと、コリアンタウンの韓流ショップなどをめぐりたい人にも便利な立地ですね。
  
【パブリックスペースと飲食スペースについて】
●宿泊特化型ホテルなのに、ロビーラウンジがゆったりしています。これは、ポイントが高いです。
レセプションカウンターの奥に設置された、植物を使ったアートも効果的です。チェックインする時に、客は「このホテルはデザイン性が高い」と感じるはずです。
●館内のどこにいてもwifiが使えるのは快適で嬉しいですね。客室にはLANケーブルがあるので、ワーキングデスクで作業するときは、それを使えばよいのですが、ベッドの上やカフェやダイニングでパソコンを使う時は、このwifiが重宝します。
●細かい点を言えば、(私が宿泊した際にはまだグランドオープンしていなかったせいかもしれませんが)、朝食のレストランに新聞が置かれていなかったのは、ちょっと残念でした。やはり、朝食後にコーヒーを飲むタイミングで、新聞を読みたくなります(これって、もはやオヤジっぽい習慣なのだろうか。現代人は、このタイミングでタブレットPCスマホでニュースを読むのでしょうか。しかし私は新聞が読みたい。。。)。
●朝食バイキングは、洋食も和食もあり、充実していました。
バーに隣接した屋上テラスが、非常に気持ちよいです。テラスからの眺望は、歌舞伎町や新宿の街ですから、決してキレイとは言いがたいのですが、新宿らしさや東京らしさを感じることができます。その点も、海外からの旅行者に喜ばれそうです。
●1階エントランスまわりにもテラスがあります。とはいえ、ラブホテルに囲まれたエリアのテラスなので、ゆっくり座れる雰囲気でもないわけですが、こうしたテラスがあるだけで、ずいぶんと豊かな気分になれます。だから、「テラスがある」ということ自体が大事なのです。
 
【客室について】
●バスタブが深くて大きいので、気持ちいい。これも、ポイント高いですね。
●もう一つ、大変好印象だった点は、部屋にオーディオ機器(Maxel製l)が置いてあったことです。アイポッドの音楽を聴けるので、滞在中も自分の部屋のようなリラックスした感覚で楽しめます。ちなみに、オーディオケーブルが用意されているので、アイポッド以外の音楽プレーヤーも接続できます。聞き慣れたBGMを流すことができるということは、高いリラックス効果があります。その結果、このホテルに対しえ「とても快適にリラックスして過ごせた」という評価が残ります。以前に、大阪の「堂島ホテル」に宿泊した際にも、部屋にCDプレーヤーが置かれており、更に、クラブミュージック系のCDまでセットされていました。大阪の「ホテルグランヴィア」のエグゼクティブルームには、天井にスピーカーが設置されていました。こうしたBGMへの配慮が、宿泊体験に大きなプラス効果を生み出します。そのことをホテルオーナーの方々はもっと意識してもよいかもしれません。
●小物もよかったです。オリジナルのマグカップが置かれており、もてなしの心を感じました。
●設備的な点で言えば、窓際のソファも便利でした。ここに座る人はあまり多くないでしょう。実際には荷物置きとして使う人が多そうですが、それはそれで、かなり便利です。
ベッドの上の天井部分に調光可能なスポットライトが設置されているので、ベッドで読書がしやすかったです。これも、うれしいですね。
●テレビも大きくて快適。そして、ビジネスホテルの基本である「テレビはベッドに寝ながら見える位置に」という重要なセオリーに忠実に設置されていた点が素晴らしかったです(すべての客室がそうであるかは分からないが)。これを実践していないホテルは意外に多いです(プラン上、どうしてもできない場合も多々ありますが)。
壁面に洋服をかけるフックを設置したオープンクローゼットは、おそらく省スペース化のための方策でしょうが、忘れ物をしにくくなるので、これはむしろありがたいと思いました。
●もはや宿泊特化型ホテルの定番アイテムになった空気清浄機も置いてあります。空気清浄機が嬉しいのは、空気清浄の機能もさることながら、実は、私としては、靴や靴下が濡れた場合にそれらを乾かすのに使えるからです。皆さんは、どうでしょうか。出張中に替えの靴を持参している人はいないでしょうから、雨の日などは、かなり助かるはずです。
●デスクが広くて仕事がしやすかったのが、大変快適でした。
  
非常に良いホテルなので、あえて難点を言えば、ワークチェアの金属フレームが硬かったのが残念です。肌が触れる家具にしては、硬くて尖っています。多くの人は、風呂あがりにイスであぐらをかいて座って作業をしたりするはずなので、シャープでエッジが効いた硬い素材は、場合によっては、不快感に繋がります。
洗面所の台の奥行きが狭いので、少々使いづらい。男性客はそれで構わないかもしれませんが、おそらく女性客は、洗面台にいろいろ置くはずなので、もう少し奥行きがほしいところです。
 
ところで、バスルームとベッドルームを仕切る壁にガラス開口部がありましたが、そこに乳白色のフィルムか何かが貼られていました。もしこれが透明ガラスだったら、最高に広々して快適ですが、それでは警察の検査が通らないかもしれません。特にラブホテルの多い新宿区では、警察検査が厳しいと聞きます。もしオープン後にこのフィルムをはがとしても、それが見つかって営業停止になったりしてももったいないので、はがさないかもしれません。
 
  
いずれにしても、とても個性的で、快適で、ワクワクするホテルです。
  
ホテルを評価する評価軸を、とても単純化して二つに分けるなら、どんな軸になるでしょうか。
一つは、「スペック」です。「便利さ」「正しさ」「ロジック」「機能性」と言い換えてもよいでしょう。
もう一つの軸は、「ワクワク感」です。
リゾートホテルや大型の総合ホテルなら、規模や予算の都合上、「ワクワク感」を追求することができますが、宿泊特化型ホテルやビジネス系ホテルでは、どうしても「スペック」を追求したホテルがほとんどです。そんな中で、この新宿グランベルホテルは、「ワクワク感」を大いに追求しています。その点を、何よりも評価したいと感じました。
     
http://www.granbellhotel.jp/shinjuku/
http://bamboo-media.jp/category/news/



Shinjuku Granbell Hotel opened at Dec. 2013 at Tokyo.
It is very comfortable and stimulating hotel.
http://www.granbellhotel.jp/shinjuku/