「鼻」

芥川龍之介の「鼻」を読む。
人は、他人が心身に不具合を抱えているとき、その人に対して哀れみを含んだ優しさをかけるが、その人が不具合を克服すると、人は、その人を以前の苦しみに逆戻りさせたいという意地悪な欲望を抱き始める。
そうした、人間の本能的な意地悪さ(他人の不幸を喜ぶ気持ち)を、的確かつ美しい文章で描き出している。こんな文章を書けるようになりたい。

羅生門・鼻 (新潮文庫)

羅生門・鼻 (新潮文庫)