こんにちは。

今年、印象に残ったプロダクトを三つほど。
ひとまず三つ。また思い出したら追記しよう。
 
プロダクトデザイナーの早川明男さんによるイス「Portrait in chair」。
木材を使った直線的なデザインなので、一見すると硬そうに見えるが、座ってみると、座り心地がよい。
座面と背面が斜めに設置されていて、見た人を少し笑わせなごませてしまうコミカルな造形だ。早川さんの他のプロジェクトも見ると、コミカルな形態が早川さんの作品の特徴であることがわかる。
人間はイスに座るとき、無意識のうちに、そして一瞬のうちに、そのイスの形や素材感とコミュニケーションしながらそこに腰を下ろす。つまり、形や素材感が座り方を導いている。このイスは、そこに着眼してデザインされている。この斜めに構えたようなデザインのイスに座るときには、人は少し斜めに腰掛ける。その座り方が、その人にカジュアルな気分を喚起したりする。そんなイスだ。
もちろん、オフィスチェアであれソファーであれ、どんなイスも、そうした身体や感情に与える影響を考慮して設計されているはずだ。しかし、シンプルな造形と少ない手数のデザインでそれを実現したことに、大変興味を引かれた。ちなみに、少ない手数でトンチの効いたデザインを生み出している現代のトップランナーは、デザイン事務所nendoだろう。
http://www.akiohayakawa.jp
   
 
 
◆黒河デザイン・プロダクツによる極薄のテーブル。
1m角の天板は、中身がアルミハニカムの構造体になっていて、突き板が貼られている。このテーブルにものを置けば、一見すると、ものすごく薄い木の板にものが置かれているように見える。天板は、10.8mmという薄さ。
この家具は、どんな空間に似合うだろうか。フラットで白い住宅のダイニングにも合いそうだ。あるいは、対照的に、工場や倉庫をリノベーションしたような非常に荒々しい仕上げの空間の中に置かれていても、その空間との対比が美しいだろう。
この展示品以外にも、いろいろな突き板や塗装に対応可能だそうだ。空間デザイナーの方々のアイデアで、どんな使い方が広がるのか見てみたい。
あえて言えば、一つだけ残念だったのは、展示会場にこのテーブルが展示されているとき、テーブルの上に何も置かれていなかったことだ。例えば、鉄アレイか何か重さを象徴するようなものを置いておけば、天板の薄さが引き立ち、いっそう見る人の足を止めたかもしれない。
http://www.kurokawa-dp-inc.com
 
 
 
◆デジタルアートフレーム「FRAMED」。
これは、今年発売されたわけではないが、この製品が置かれた店を今年取材で訪れて印象に残った。従来の絵画や写真の代わりに、デジタルアートを飾ろうという試み。
デジタルアートフレームというのは、まだ聞き慣れないジャンルかもしれないが、これはデジタルアートを室内に飾るための額縁。要するに、大型で高機能なデジタル画面だ。周囲のフレームはステンレス製で、55インチの縦型LEDディスプレイ。これがプロダクトとしても大変美しい。
もちろん肝心なのは、デジタルアートのコンテンツ。コンテンツはオンラインギャラリーで購入しダウンロードする仕組みだ。この動画コンテンツが、デジタル感を排し、アナログ風の柔らかくランダムなムラのある動きをするので、見ていて疲れない。
カフェ、バー、美容室など、滞在時間の長い空間にアイキャッチとして設置すると、魅力を発揮しそうだ。ファッションブティックに設置して、自社の洋服のコレクション映像とアートを交互に流すなんていうのも素敵かもしれない。
実際にどんなコンテンツがあるのか知りたい方は、表参道のショールームか、渋谷の「goodbeer faucets(グッドビア ファウセッツ)」というビアバーに行くと見ることができる。ビールで気持ちよくなり場が盛り上がる頃には、すっかりデジタルアートのことなど忘れているかもしれないが、それはそれでよいのだ。
http://goodbeerfaucets.jp/
http://frm.fm/