ラフ・シモンズ 阪急西宮ガーデンズ くらしとあかり 

■この1カ月、自宅のパソコン故障、風邪、特集の担当などが重なり、いつもより早いスピード感で時が過ぎ去る。やり遂げた感じもあり、同時に学ぶことも多い一カ月。いい一年のスタートである。

■パソコンの故障は、「システムボードの交換」という修理内容であった。2年ほど前にも同じ症状で、修理に出している。ちょっと脆弱過ぎないか。製品の問題か、使い方の問題か。これを回避する方法はあるのだろうか。

■もう1カ月も経つが、1月初めに、ブティック「ラフ・シモンズ」の運営会社さんと設計者さんに取材を丁寧に取材をさせていただく。曰く、日本のアパレル業界にはあまり多くない「トップブランドとドメスティックブランドの中間」というポジションに居続けるのは難しい。そこで、店舗デザインや商品構成の刷新を図り、トップブランドとして認知してもらおう、という方向性。
ブティック好きの方やアート好きの方には、興味深い店舗ではなかろうか。特に大阪の店舗は、空間の輪郭が掴めない、不思議な体験ができる。詳細は2月号の新作ページでどうぞ。

越谷レイクタウンへ。
ビッグネス。そして、駅前にはジェネリックシティができつつある。
日常的な買い物からファッション、雑貨、家具、自動車まで、何でも揃う。大変便利。しかし、毎週末のようにこうした空間を訪れたら、人によっては、ファストフードを食べ過ぎた時のようなゲップが出ないだろうか。人工的なものを摂取し過ぎてしまった時のゲップが。
それは、運営者や設計者の責任ではない。自然発生した街でなく、人為的に一時につくられた巨大空間は、おそらく、どうしてもそうなる。

■表参道のブティック「F.I.L.」へ。ギャラリーのような贅沢な空間。

■東京ドームシティ内の「ミーツポート」へ。改めて環境デザインを見に行ったのだが、冬なので、グリーンはない。気候のいいシーズンであれば、とても気持ち良さそう。
http://www.meetsport.jp/

■友人の結婚式で、池袋の自由学園明日館へ。二つの空間を使って披露宴。やや住宅に近いようなこじんまりしたスケール。上下の空間の連続性が見事。同じ建物にいる他人の存在を感じられる配置も温かい。
出席者は80人くらいいただろうか。空間の効果か、大事な場面ではアットホームな雰囲気が感じられて、とても素敵な式。末永くお幸せに。
http://www.jiyu.jp/

■ライターの方と一緒に、日帰り大阪出張へ。取材をしたり、「阪急西宮ガーデンズ」を見たり。大阪は、東京よりもどこかゆったり時間が流れている気がして、出張で訪れてもリラックスできる。街を歩く人の数や建築物の密度の問題だろうか。
http://nishinomiya-gardens.com/index.html

竹中工務店さんへ取材。久々に大きな企業の立派なミーティングルームで取材させていただき、気持ちいいやら緊張するやら。的確な資料と丁寧なお話をいただく。

■あるモダン庭師さんに取材。関西中心に活動されているが、東京出張の折りにインタビュー。もうすぐ竣工する上海でのプロジェクトの話など。

■連載取材で、アビリティー朝里さんの事務所へ。いつもじっくりとお話を聞かせていただいた上、資料製作まで、大変お世話になる。飲食店のプランニングについて活字で表現するのは難しい。うまく図版と連動させる必要がある。
朝里さん、ブログを始められたとか。
http://ameblo.jp/ability--ass/

■連載取材で、BACH幅さんの事務所へ。毎回、サービス精神な旺盛なネタと手の込んだオチでお話してくださり、まるで落語を聞いているような楽しみがある。原稿化しやすくて大変助かっている。

■表参道で撮影。晴れた日曜の朝、表参道のカフェで本を読むと大変気持ちいい、という頭で考えただけでも簡単に分かりそうな事実を改めて体感した。
新横浜で撮影。
羽田空港第二ターミナルのカレー店「AVION」を見に行く。ビーフカレーが美味しい。
http://www.tokyo-airport-bldg.co.jp/tenant/detail/295.html

■日埜直彦さんの事務所へお邪魔する。お写真を借りたり、ギャラリー空間づくりのポイントを少しうかがったり。
http://hino.nu/

麻布十番の「レーベルカフェ トーキョー」へ立ち寄る。時間がなく、コーヒーを飲めなかったが、今度はゆっくり滞在したい。ちょっとのんびりした空気を感じさせる立地がエンバディ岩本さんらしい。
http://www.label-creators.com/cafe/cafe.html

■写真家の平井広行さんの事務所へお邪魔する。お写真を受け取ったり、お話を伺ったり。デジタル系の設備も着々と構築されている様子。
中目黒は建築カメラマンさんが多い。

■1月終盤から2月初旬は、入稿の準備と入稿作業。編集部の後輩の力も借りる。後輩がとても優秀で仕事が丁寧なので、暢気でアバウトな僕としては大変助かっている。

■来期の目標管理について編集長と打ち合わせ。個人としての目標だけでなく、雑誌づくりのスタンスとして「つねに読者の方を向いて、長期的な視点で愛情を持って誌面をつくっていこう」という主旨の話も出て、基本スタンスを確認。

■銀座にて第二新橋会館ビルを、山下設計のご担当者さんの案内にて見学させていただく。
一見、ポストモダンでキャッチーな造形に見えるが、構造、設備、施工などいろいろな側面から造形を決めていった話を伺う。「空間の使われ方」と「覚えてもらいやすさ」の両面から、この造形となったようだ。8階の中華料理店でランチ。

INAXギャラリーにて、「カン・イング 展―バラスとワイヤーの天地―」と「野口美香展―黒・絡み、くねる陶―」を見る。
前者は、繊細で静謐。個人的には、もう少し何か驚きがほしい。
後者は、ロクロでつくった陶の管のような造形を大量に寄せ集めた作品。こうした管のような造形に感覚的に、嫌悪感を抱いてしまうのは、人間の遠い祖先が「一本の管」のような生き物だったことからくる近親憎悪ゆえなのではないかと感じる。
(「一本の管」の話は『できそこないの男たち』(福岡伸一)のP.146〜。『大腸の健康法』(松生恒夫)にも「大腸は第二の脳」という腸の神経の自律性に関する話が書かれていた)
http://www.inax.co.jp/gallery/contemporary/detail/d_001338.html
http://www.inax.co.jp/gallery/ceramic/detail/d_001339.html

遠藤照明にて、「くらしとあかり」第6回エキシビションを見る。乾久美子さんと伊藤達男さんのコラボレーション。
光の効果と繊細な面の色彩で、人の視覚を揺さぶろうとする試み。「存在しない光を存在するように見せる」あるいは「存在する光を存在しないように見せる」という点で乾さんの一貫性を感じる。
しかし、この試みを意図通りに人に体感させるためには、相当精緻に仕掛けをつくらないと難しい。
ともあれ、「くらしとあかり」シリーズは、これで最終回。こうした場所と資金を提供し、多くの人に考えるきっかけを提供した遠藤照明の英断は大変素晴らしいと思う。

■プリズミックギャラリーにて「丸田絢子展」を見る。過去の作品と新作インスタレーション
ダンボール、鉄板、鉄パイプなどのブルータルな素材を大量に用いながら、そのブルータルさと相反するようなストーリー性のある造形やポップな図柄を生み出す」という作品で、丸田さんの仕事は一貫しているように見える。
http://www.prismic.co.jp/gallery/gallery_works25.htm

■midorieのショールームにちょっと立ち寄る。「パフカル」というスポンジのような手触りの素材に植物を植えて、屋上や壁面を緑化できるアイテム。スポンジのようではあるが、植物が根を張れるようになっている。既に施工事例があるが、土を使わずに緑化できるので、インテリアでも使いやすそうだ。
http://www.suntory.co.jp/midorie/

■初台のオペラシティーにて、中村竜治さんが手掛けられた、オペラの舞台デザインを見せていただく。20mほどのモール状の紐を約520本、ステージ上部から吊っている。
「明確な形態や実体を持たない白く多孔質なボリュームで空間をつくろうとしているように見える」という意味で、過去の中村さんの仕事からの一貫性を感じる。
中村さんにお会いし、ちょっとお話を伺う。

ちなみに、考えてみると、この日は青木淳さんの事務所ご出身の建築家さん3人の仕事を見て、いずれにも一貫性を感じたということになる。

■以前お世話になっていた方と久しぶりに会い、「響 新宿サザンタワー店」にてお食事。
仕事の原動力、趣味、本、映画、旅行の話などなど、あっという間に時間が過ぎる。仕事の原動力や小説の話などをこれほどじっくりできることは稀で、貴重な時間を過ごさせていただく。この1カ月間の張り詰めていた気持ちがゆっくりと溶け出していく。
以前から、「30歳になったとき、自分の一つ目の夢が実現していたら、その次の年のお正月に連絡してみよう」と考えていたので、感慨深い。

■会議用の企画書をサクッとつくる。

■平沼橋にある設計事務所にて取材。リニューアルされた旅館の取材で、団体客から個人客へと移行するニーズに対応して、インテリアをリニューアルするという今日的なプロジェクト。だが、そうしたリニューアル旅館の中では比較的リーズナブルな金額で宿泊できるので、うれしい。アクセスもいい。
詳細は、後日。

■新宿にて、ブティック「エイトミリオン」と「Ermenegirdo Zegna」を見る。
前者は、銀座店と同様の要素で構成されている。ゆったりした空間。
後者は、メガブランドっぽい雰囲気。こちらもゆったりした空間。