神奈川芸術劇場・NHK横浜放送会館 大さん橋 BRASSERIE LA CLASSE

横浜へ。

■「神奈川芸術劇場NHK横浜放送会館」を見る。設計は、香山壽夫建築研究所、大野秀敏+アプル総合計画事務所。
日本大通り駅からすぐ近く。とても素晴らしい建物だと感じた。
エントランスを入ると、大アトリウム。煉瓦色を基調とした大階段の空間は、横浜らしい落ち着きのある雰囲気。トップライトから柔らかく自然光が降り注いでいるためか、屋内でありながら、屋外のような空間の広がりを感じる。また、アトリウムを囲む三方の壁面が、まったく違う色味(白、黒、オレンジ色)になっているので、アトリウム広場が、一つの建物の中のアトリウムというより、街の一画にある広場のような雰囲気を獲得している。
そうした街角のようなこの屋内広場のデザインは、この広場がすべての人に開かれた空間であることを直感的に感じさせてくれる。そしてそのことによって、この建物がすべての人に開かれた公共建築であることも直感的に感じさせる。
また、その吹き抜けアトリウムを取り囲むように螺旋状にエスカレーターが上昇しており、この建物のメーン機能である大劇場への動線を利用者がすぐに視認できる構成となっており、とても親切なつくりだ。大劇場の位置も、アトリウム上部に突き出たオレンジ色のボリュームによって、すぐに認識できる。
そして、そのエスカレーターを上がっていくと、劇場のエントランス近づくにつれ利用者は徐々に気持ちが高まっていき、「これから演劇を見るのだ」という非日常的な気分になるだろう。イントロダクションのような空間だ。
特に、ホワイエに出る直前に、少し狭いヒューマンスケールな通路を通る仕掛けになっているので、ホワイエに出た瞬間に、その広がりと明るさにハッとする仕掛けになっている。(そのヒューマンスケールな通路は、アトリウムに突き出た大劇場のボリュームの下部)
なお、1階のカフェもとても居心地が良さそうだ。中華街や山下公園が近いので、散歩の途中に立ち寄っても良さそうだ。
公共建築を設計する際、直接的な利用者(演劇を見るなど、そのホールに直接の用事がある人)以外の人々にその建築をどのように開くか。特に、文化施設なら、劇場やホールという主機能が使われていない時間帯にもその建築が死なないよう、いかにその建築が街へ価値を提供するか。それは公共建築の設計で重要なテーマだろう。そのテーマへの解答として、素晴らしい設計だと感じた。
もちろん主機能である劇場や各種ホールの使い心地も重要なので、いずれ何かの演目をここで見てみたい。

ちなみに、詳しい図面などは、「新建築」2011年1月号に掲載されている。

http://www.kaat.jp/
http://www.nhk.or.jp/yokohama/map/index.html
http://www.hamakei.com/headline/5341/


大さん橋へ。ここも上記の神奈川芸術劇場と同じく、船に乗るという主機能のために訪れた利用者以外の人々にも開かれており、公園としても風景としても素晴らしい建築。

■象の鼻テラスを見ながら。赤レンガ倉庫へ。

■赤レンガ倉庫のレストラン「bills (ビルズ)」へ行こうと思ったら、行列ができていたので、やめる。詳細は、「商店建築」2010年9月号のカフェ特集に掲載。
http://www.yokohama-akarenga.jp/shops/218.html

■新横浜キュービックプラザへ。
キュービックプラザ10階にあるお気に入りのカフェへ。「オーバカナル」がプロデュースするブラッスリー「BRASSERIE LA CLASSE」。
巨大な吹き抜けが気持ちいい。打ち合わせするにも、一人で読書するにも、ゆっくりおしゃべりするにもいい。コーヒー1杯500円なり。立地柄、新幹線に乗る前に、一息ついてもいいかもしれない。
先の神奈川芸術劇場のアトリウムもそうだが、室内空間の快適さやヒューマンなスケールと屋外空間の伸びやかさが同居した空間は、理屈抜きに心身を気持良くさせてくれる。
このフロアは、ホテルアソシア新横浜のエントランスフロアでもあるので、ちょっとした旅行気分も味わえるのも、素敵だ。

http://www.cubicplaza.com/shop/?id=76
http://www.laclasse.jp/

■帰りになぜか、横浜線東横線が異常に混んでいた。よく見ると、みんな「Nana Mizuki」と書かれた金色の同じ袋を持っている。「Nana Mizuki」というのは、いったい誰なのだ。客層は、20、30代男子に混じって、女性客もけっこういる。あとで調べて見らたら、水樹奈々という人のイベントが横浜アリーナで開催されていたと分かった。