【商業空間デザイン】ラーメン博物館(神奈川・新横浜)は、なぜ繁盛し続けているのか

ラーメン博物館(神奈川・新横浜)へ行ってきました。
年間100万人以上が訪れる人気施設です。
開業から28年を迎えます。
 


久しぶりに訪れてみて驚いたのは、開業時と共用部の内装が、ほとんど変わっていないこと。
一般的に、トレンドの移り変わりが激しい商業空間デザインの世界では、せっかく設計しても、数年で改装してしまう施設も多くみかけます。
では、なぜ、ラーメン博物館は28年間、繁盛し続けているのか。
そう考えて、以下のようなことに気づきました。
 
●まず、ゾーニングの明快さ。
2フロアで構成されていますが、上階が回遊型の路地になっていて、主に、駄菓子屋やスナックなど、ラーメン店以外のコンテンツが集約されています。(実際には、ラーメン店も2軒含まれていますが。)
一方、下階にはラーメン店7軒が、中央広場を囲むように配置されています。
 
●そして、開業時のプランニングとデザインが秀逸。
上階の回遊型路地は、直角ではなく、鈍角に曲がっています。そのため、常に曲がり角の先が見えるので、奥へ奥へと進みたくなります。そして、直角に曲げるよりも、鈍角にすることで、短い路地がたくさんある状態になり、シーンが次々展開していくように感じさせます。それに合わせ、シーンが、横丁から住宅街へと変化していくようにデザインされています。
来場者が受ける印象として、「とても複雑な空間だった」と感じるはずです。このプランニングが非常にうまいと感じました。

 

●ディテールのリアルさ。
ここのエージングや小物が、とてもリアルです。
また、町並みの2階部分を、1階部分より小さめにつくることで、遠近法を効かせて、風景としてのリアルさを生み出しています。(これは、ディズニーランドなどでも使われる、テーマパークでの一般的な手法と言えます)

 

●ラーメンというコンテンツの強さ。
ラーメン博物館には、非日常のレジャーとして楽しみにくる客も多い一方で、近隣のビジネスマンが年間フリーパスを買って、日常的に昼食を食べにくるという使われ方もしています。
これは、いわゆるテーマパークと大きく異なる点と言えそうです。
経営者の方も言っていましたが、「カレーを毎日食べるのはしんどいかもしれないが、ラーメンなら毎日のように食べられる」。そんなラーメンというコンテンツの強さを改めて感じました。
 
●この環境なら、待たされても、いやじゃない。
普通のラーメン店で、30分待たさせれたら、「じゃ、別の店に行こう」となってしまいますが、ここは、環境デザインが面白くて飽きないので、「30分待っても、まあ、いいか」と思えそうです。
 
 
今は、ちょうど「あの銘店をもう一度」というイベントを開催中です。3週間程度で次々と店が入れ替わり、これまでラーメン博物館に入っていた店の味をもう一度食べることができるという企画です。
この機会に、美味しいラーメンを食べつつ、長持ちする商業空間デザインの研究として、ぜひ訪れてみてください。

 

ラーメン博物館

 

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