三越伊勢丹 ルクア ドミニク・ペロー

こんにちは。
 
◆建築家の小川達也さんのご案内で、渋谷のとあるオフィスを見学させていただく。ブティックだった建物を利用したブルータルな空間。使い手の自由度が高そうだ。
http://16a.jp/

◆大阪での「月刊 商店建築」通巻700号記念セミナーと、その後の懇親会は大盛況。改めて読者の皆さんに感謝感謝の一日。
セミナーには200人近く、懇親会にも70人くらいの方々がご参加くださり、大阪の熱気を感じる。日頃東京にいると、どうしても大阪の設計者の方々に近作のお話をうかがう機会が少なくなるので、今回はとてもいい機会だった。反省点もあるが、それは次の機会に活かそう。
セミナーでは、野井成正さん(野井成正デザイン事務所)、間宮吉彦さん(infix)、大野力さん(sinato)が講演とディスカッションを展開してくださった。
ちなみに、セミナー会場のTBホール(タカラベルモント本社ビル地下1階)は、客席の床に段差をつけることができたり、本格的な照明設備が揃っていたりと、大変充実した空間。大阪でのイベントにとてもオススメの施設。
懇親会の会場は野井さんの展示会の会場でもある。川に面した素敵なこのカフェとギャラリーで、大阪の設計者の皆さんやカメラマンさんとゆっくり歓談。設計者の方々だけでなく、店舗デザインに興味があるという老舗和菓子店の若き専務の方がご参加くださっていたのも、とても嬉しかった。お忙しい中、東京から小坂竜さんや橋本夕紀夫さんも駆けつけてくださった。

 
◆大型開発、「JR大阪三越伊勢丹」と「ルクア」へ立ち寄る。レストランフロアの各店舗には、ランチタイムもディナータイムも長蛇の列だった。こうした充実したレストランフロアが、キタエリアには少なかったのだろうか。
線路をまたぐ空中広場「時空の広場」は、まるで飛行場のロビーのようなダイナミックな空間で、大阪の中心部に新しい風景を生み出している。
http://osaka.wjr-isetan.co.jp/
http://www.lucua.jp/

三越伊勢丹ルクアの10階レストランフロアで、「高麗橋吉兆」「ドルチェ ポンテベッキオ」「ビストロ ヴァリエ」「なかのや」などを見る。
「なかのや」で食事。焼き魚のセットが美味しかった。
その他、ブティック「ルシェルブルー」も見る。最近オーガニックでグリーンや木材を多く使った内装デザインばかり見ていた中で、このルシェルブルーは、無機的でややメカニックでクール。久しぶりにこうしたデザインを見た気がした。
ところで、レストランフロアは大盛況だが、物販店は必ずしも楽ではないかもしれない。2011年6月8日付けの「日経MJ日経流通新聞)」によれば、「JR大阪三越伊勢丹」の開業1カ月の売り上げ高は45億円。年商目標の12分の1に相当するそうだから、まずまずかもしれないが、本来ならオープン景気でもっと見込みたいところだろう。ちなみに同期間の来客数は480万人だそう。同じく開業1カ月の「ルクア」の売り上げ高は、41億円。年商目標は250億円。ルクアでは、雑貨の販売が好調だったそうだ。
    

◆ドミニク・ペロー氏のデザイン監修による「富国生命ビル」を見る。低層部が根のように広がるこの形は、樹木を思わせる造形だそうだ。低層部の、凹凸を付けて取り付けられたガラスは、街へ与える圧迫感を軽減しているように見える。
内部は、ダークグリーンの外観イメージとは異なり、鮮やかなグリーンのガラスルーバーの吹き抜け。4階には、産学連携による研究を披露するブースや、アサヒビールのプロモーションスペースがあり、そのフロアに、グリーンを生活に取り入れるためのヒントに溢れた「Urban Green Lab」がある。このビルは、抽象化されたグリーンと具体的なグリーンを同時に楽しめる新しい梅田のオアシスかもしれない。
     

富国生命ビルの1階には、インフィクス 間宮吉彦さん設計による「うどん しのぶ庵」も入居している。

◆梅田大丸では、文田昭仁さん設計の「アナイ 梅田大丸店」を見る。
リーガロイヤルホテルの地下で、乃村工藝社の松浦竜太郎さん設計による3店舗「サロン・ド・テ・ベルナルド」「ベルナルド」「テレジアンタール」を見る。
テレジアンタールは1836年ドイツ発のガラス食器ブランド。壁面に取り付けられたアイアンワークは、テレジアンタールのグラスの模様から引用している。コンパクトながら美しいお店。ベルナルドも、贈りものに良さそうな素敵な食器の数々を扱うショップ。什器の脚の造形など、細部のデザインに松浦さんのスキルと気遣いを感じる。そうしたことの積み重ねが、高級感や緊張感の演出に繋がっているように見えた。
http://theresienthal.jp/
 
◆「nu茶屋町」へ。柱の内部にも緑化が。しかし、磨りガラス越しなので、その植物が本物かフェイクか分からないような演出になっている。


新大阪駅にて、ミュープランニング尾崎大樹さん設計による「エキカフェ」を見る。移動中にスピーディーに立ち寄るのに相応しい軽やかなデザイン。木材を多用した温かみとリラックス感のある空間は、女性客にも支持されそうだ。
http://www.ekicafe.com/
◆南海ターミナルビルを見る。プランテックによる大改修案で生まれ変わった。「なんばガレリア」(旧ロケット広場)は、求心性のある広場になっている。地下鉄の閉塞感ある空間からアプローチすると、突然空間が開けるので、印象的。おそらく、通勤通学の途中に「この周りでウロウロ滞留してみたい」と思って、このガレリア周辺のカフェやショップに立ち寄る人も多いのではなかろうか。
高島屋のレストランフロア「なんばダイニングメゾン」へ行ってみる。こんなにインパクトの強い共用空間を、初めて見た。キタとミナミで、消費者のニーズがだいぶ異なるのだろうか。ある大阪のインテリアデザイナーさんから聞いたのだが、ミナミでバーラウンジを設計した時は、意識的にコテコテでインパクトの強いデザインをしたそうだ。
ガレリアを中心に、内部の動線も整理されている。この巨大な複合商業施設を、どのようなポイントに絞ってリニューアルしたのか。発売されたばかりの「月刊 商店建築」7月号「大型商業施設の新デザイン」特集の中で、全体設計を担当したプランテックさんへのインタビューも交えて、レポートしています。
http://www.plantec.co.jp/
  

ユニクロ心斎橋店へ立ち寄る。昼と夜で違う表情を見せながら、猥雑な印象のあるエリアで明快な存在感を放っていた。ユニクロ心斎橋店の仕掛けは、2011年1月号の特集「商空間を彩るデジタルエレメント」で紹介しています。
  
◆心斎橋にてブティック「マリテ+フランソワ・ジルボー」(2011年2月号)へ。シャープで、街路へ開かれたデザインが、通行人を引きつける。設計は、海外ブランドの日本出店の際の店舗設計を得意とするギャルドUSP。
http://www.garde.co.jp/
◆ブティック「ルシアン ペラフィネ 心斎橋店」(2010年2月号)を見る。設計は、隈研吾さん。道路から内部空間の視認性が高いが、意外にも、内部空間に入ってみると、外部空間から遮断され包み込まれるような感覚を味わう。
http://kkaa.co.jp/
◆ジュエリーショップ「ジャスティデイビス」(2009年11月号)へ。設計は、ベルリーナ樋口泰輔さん。樋口さんらしいエッジのきいたロックンロールなデザイン。
http://www.taisukehiguchi.com/projects.html

◆関西を拠点に活躍されている編集者の山崎泰寛さんに数年ぶりにお会いする。いつもながら、山崎さんの射程の長い思考と注意深い語りに、いろいろなことを気付かされる。
◆山崎さんに教えていただき、大阪府弁護士会の建物を見る。設計を手掛けたのは日建設計。竣工は2006年7月。印象的な建物。外装の大型陶板が弁護士会という存在の威厳を表現しているように見えるが、同時に、グリッド状のフレームと巨大なガラスが軽やかさを生み、近寄りがたさを軽減しているように見える。
 

◆「堂島ホテル」はいい。オープン以来、デザイン業界の人を中心に、多くの人から厚い支持を受けつづけるホテル。部屋にCDプレーヤーがあるって、けっこう大事なことかもしれない。
  
◆「セントレジスホテル」は、すべてが快適であった。夜、部屋に入ると同時に、自動でカーテンが開き、夜景が目に飛び込んでくる。この演出で心を掴まれた。素材感やゆとりで、なんとなく上海の「ペニンシュラホテル」を思い出していた。
ただ一点、ネット利用に1900円かかるというのは、いかがなものか。
  

◆あるスポーツブランドのPRスペースへお邪魔する。
◆スパイラルにて『 ヒラタ ノ ボウシ 』 平田暁夫帽子展を見る。nendoによる斬新な会場デザイン。
◆デザイナーの広瀬さんと久しぶりに行きつけのお好み焼き店で食事。

◆取材でstudio-Lの山崎亮さんにお会いする。パークマネジメントやコミュニティーデザインという視点から、ハードよりも、むしろそれ以前の人づくりや人間関係づくりを支援することによって、公園からデパートまで様々な施設を元気にしている。取材でお話を伺いながら、相手の立場に立ってどんどん相手を巻き込んでいくエネルギーを感じた。山崎さんの明快で快活な語りと粘り強さに、多くの人が引きこまれていくだろう。こういう人がもっと増えたら、街づくりも公園づくりも商業施設づくりも、きっともっとハッピーになると思う。
http://www.studio-l.org

◆外苑前の「ドトールコーヒー外苑前店」へ。ミラー壁面の前に吊られた「本棚の写真をプリントしたカーテン」が効果的。従来のドトールと異なる新しくて軽やかな空間を生んでいる。若い客層に訴求できそうだ。むしろ、オシャレすぎて、従来のドトールユーザーだった営業マンのおじさんたちが入りにくくなるかもしれないが、若い客層へのブランディングとして素晴らしい。全席禁煙なのも素晴らしい。明るくゆったりした店内。近くを通りかかった際には、オススメである。設計は西脇一郎さん。
http://www.nishi-d.co.jp/

■大変気になるイベント。
THINK : 03
日時:6月24(金)19:00〜21:00
会場:suppose design offce 3階
http:/www.suppose.jp
入場料 1000円
http://smak.exblog.jp/13801083/

■もう一つ、大変気になるイベント。
MATERIO base.オープニング企画展 「外から中中から外」野井成正
会期:2011年7月21日(木)− 9月30日(金)
 12:00−18:30
 土・日・祝日 休み
 夏期休業8/11〜8/15 ただし、7/23、9/3のみ土曜オープン
場所:MATERIO base. 1F,2F  入場無料・予約不要
そして、スペシャトーク「素材と空間」(野井成正氏×内田繁氏、笈川誠氏)にもぜひお邪魔してみたい。