自由が丘の「CAFE RADIO PLANT(カフェ レディオプラント)」へ。

 

まだオープンして3カ月ほど。オープンした頃に店の前を通りかかり、店構えを見て、「このお店のメニューは美味しいはず。そして、店内にはゆったりした幸せな空気が流れているはず」と直観したので、気になっていました。毎年、数十軒(いやもっとか?)の飲食店を取材や視察で見ていると、店構えに滲み出す運営者の心意気から、メニューなどのクオリティーがある程度、推察できるようになってきます。
 
予想通り、いや予想以上に素晴らしいカフェでした。毎日通いたくなる。
そうです、店内をよく観察してみると、「毎日通いたくなるカフェ」に必要な要素がすべて揃っているではありませんか。
箇条書きにしてみましょう。
 
1.美味しいコーヒー。
これは、「毎日通いたくなるカフェ」にとって基本中の基本。これを外したら、通えません。
レディオプラントでは、水出しコーヒーという何やら丁寧な抽出方法で淹れたコーヒーを出してくれます。コクがあるのに飲みやすくて、美味しい。喫茶店でコクがある深入りコーヒーを飲むと、ときどき胃に負担がかかることがあるのですが、ここのコーヒーは、大丈夫。深入りでも飲みやすいです。

 
2.ゆったりした空間。
これも、「毎日通いたくなるカフェ」にとって必須事項。
席数を詰め込みすぎていないのが、好感。店内はさほど広いわけでなないのですが、開口部の面積が広いため、閉塞感のない空間になっています。
木材や石を多めに使った内装が、ゆったり感を生んでいます。
店内には、個性を押し出し過ぎない、上品で素材感のある家具が置かれていました。低い位置に吊ったペンダント照明もポイントです。
もちろん店内は禁煙です。(ついでに、禁煙に関して言えば、エクセルシオールカフェ分煙は、ひどい。一応分煙にはなっているが、パーティションでしっかり仕切られていなかったり、おそらく空調による空気の流れが考慮されていなかったりするため、ほとんど分煙とは呼べない状態です。少なくとも、私が時々行く自由が丘の2店と西新宿の2店をはじめ、いくつかの店舗がそうのような状態なので、エクセルシオールカフェ各店に共通の問題のようです。エクセルシオールカフェは、パスタやスープなどのフードメニューのクオリティーが高いだけに、分煙の杜撰さは、大変もったいないと思います。)

 
3.気持ちいいBGM。
目には見えないけれど、体感的な居心地を大きく左右するのがBGM。
店を出る時に「この店、なんとなく気持よかった。また来たい」と感じる場合、その理由を考えてみると、つい目に見える家具やメニューを考えがちですが(当然それらは重要ですが)、BGMの種類や音量が適切であるというケースが多いのではないでしょうか。
このカフェのBGMは、たしかライトなジャズだったと思います。クラシックに関する本やCDも置かれていたので、時間帯によっては、クラシックが流れているのかもしれません。
店内奥には、充実したステレオセットが置かれていました。
 
4.サービスの距離感。
付かず離れずの適度な距離感のサービスも、店の印象をぐっと向上させます。
このカフェは、ご夫婦で運営されており、ご主人がコーヒーを淹れ、奥様がフードの調理をなさっているようです。控えめで穏やかなご夫婦で、いつ来ても受け入れてくれそうな接客の距離感が、とても好印象でした。
ちなみに、クリームとハチミツののったシナモントーストを注文したところ、出来上がった時に、奥様が、「出来ました〜」と独り言のようにつぶやきながら運んでくれたのが、とても印象的でした。通常、飲食店では、調理することがあまりにも当たり前の日常業務なので、おそらく、一品つくるごとに「出来ました〜」という気分は持たないだろう。だから、このお店で聞いた「出来ました〜」には、一品ずつに心を込めてつくっている感じが滲み出ていて、温かい気持ちになりました。
 
5.シンプルで家庭的なフードメニュー。
もし、妙に凝ったメニューだったり、いかにも外食っぽい味だったりすると、飽きてしまい、毎日リピートするのは難しいので、フードメニューがシンプルで家庭的であることも、評価軸に入れておきたいと思っています。
先のシナモントーストは、家庭的で、美味でした。
他には、メインメニューとしてサンドイッチとカレーがあるので、今度はそれらをいただいてみたいと思っています。

  
6.きれいなトイレ。
これは、もっと上位の項目と考えてもよいかもしれません。
飲食店にとって、トイレは非常に重要です。
トイレがきれいでなかったら、それ以外の項目がたとえパーフェクトでも、リピート率が下がるでしょう。特に女性は。
トイレに清潔感がなければ、飲食店のイメージはガタ落ちです。
もちろんこのカフェのトイレは、清潔で、良い香りがしました。
(ちなみに、私が考える理想のトイレの基準は、「その空間でシャンパンを飲んでも違和感がないか」です。そんなトイレあるわけないだろ、とツッコミを受けそうですが、グランドハイアットホテルのトイレなどは、その基準を満たしています。余談ですが、先日、グランドハイアットのトイレに入ったら、外国人観光客らしきオジサンが、トイレの床にスーツケースを広げて中身を整理していたので、かなり驚きました。しかし、言い方を変えれば、人にそうさせてしまうくらい清潔なトイレだということです。ピカピカに清掃が行き届いた石貼りの床を、改めて尊敬の眼差しで見てしまいました。)
 
7.オーナーの個性。
仮にさほど個性的でない店でも、上記の項目をだいたい満たしていれば、十分に毎日通えます。むしろ、クドイほどに個性的なカフェよりは、没個性的なカフェのほうが、はるかにリピートしやすい。
なので、店に個性を出す場合、そのさじ加減がなかなか難しい。
いや、そもそも、カフェの個性はドリンクやフードによって演出すべきです。例えば、この店の水出しコーヒーのように。
その上で、さらに、オーナーの個性がさり気なく嫌味でない程度に店内に見え隠れしていると、その店の印象が客の記憶に残りやすくなります。つまり、店のキャラクター性です。
このカフェには、店内に20個くらいの、ラジオが置かれています。古いラジオのコレクションが、ご主人の趣味なのだそうです。真空管ラジオなどもあって、マニアには興味深いかもしれません。とはいえ、このラジオたちは、マニアでなくとも、観賞用のインテリア小物として十分に楽しめます。そして、このラジオたちが、この店の店内にゆったりした空気を生み出し、地に足の着いた普遍的な雰囲気を生み出しています。
また、ラジオだけでなく、音楽やカフェにまつわる本や雑誌が置かれています。

 
8.暇つぶしアイテム。
これが、最後の項目です。
もはや、このあたりの項目になると、まったく必須ではありませんが、基本項目を満たした上で、こういうブラスアルファの項目が満たされていると、ついついリピート率が上がってしまいます。
このカフェには、上に書いたように、音楽やカフェにまつわる本や雑誌が置かれていて、自由に読むことができます。新聞も置かれています。このお店では壁面棚の下段にうまく新聞が置かれていましたが、飲食店にとって、新聞はクセモノです。置き方を間違えると、あっという間に、地方のラーメン店や喫茶店の雰囲気が醸し出されてしまいます。新聞は、あくまで、さり気なく控えめに。もし置くなら、他の雑誌に交ぜて、うまく置きましょう。とはいえ、不用意にファッション誌などを置くと、今度は美容室のようになってしまいます。雑誌は、趣味性が強く出ますから、カフェに雑誌を置くという演出は、一見簡単に見えて、なかなか難易度が高いのです。

 

というわけで、ずいぶん長くなりましたが、カフェ レディオプラントを通して、「毎日通いたくなるカフェ」に必要な要素を考察してみました。
 
このカフェの客層は、地元のおじさんらしきお客さんから自由が丘の街歩きを楽しんでいる若者らしき人まで、幅広いようです。
こういうカフェが、街に増えたら、日常生活はもっと幸せになるだろう。
そう感じるお店でした。
私自身がリピーターになり、またいろいろ発見したら、報告いたします。
 
 
〈勝手に採点〉
 ロケーション ★★★☆☆
 メニュー ★★★★☆
 サービス ★★★★★
 インテリア ★★★★☆


 カフェ レディオプラント
 東京都世田谷区奥沢7-7-21 CasaAbierta 1F
 営業時間:11:00〜20:00 (ランチタイム11:00〜14:30)
 定休日:水曜日
 TEL 03-5706-0118