相手の発言の真意を理解する

相手の発言の真意を汲み取って理解する力。
これは、職種を問わず、仕事に関する能力のうちで最も重要なのではないか。
平たく言えば、「相手は、この発言によって私に何を伝えようとしているのか」「相手は、何を最も重要視しているのか」を理解する力。

 
ただし、「真意を理解する」ということと、「その真意に同意する」ということは、まったく別のことである。
同意するか否かという価値判断をひとまず保留して、まずは、全力で相手の発言の真意を理解する。理解できなければ、理解できるまで質問をする。

 
次に、自分の意見を相手に伝えてみる。
自分の真意が相手にうまく理解されていないようなら、別の単語を使ったり、例え話を出したり、図を描いたりして、理解してもらえるまで伝える。

  
この2段階が完了すると、相手と自分との間にあるテーブルに、「相手の意見」と「自分の意見」が並べて置かれた状態になる。
両者の意見に相違点があれば、「どの点が異なっているのだろう」「なぜ異なっているのだろう」と議論してみる。
 

そのようにして相手と対話できたら、打ち合わせなどを含めて、日常のあらゆる会話が非常に生産的なものになりそうだ。
特に重要なのは、価値判断をひとまず保留にして全力で相手の発言の真意を理解するというステップ。この作業をしない限り、自分自身が頭の中につくり上げた「箱」(意味の体系や思考の慣習)から出ることができない。つまり、視野を拡張するという意味での成長ができない。 
 
   
あっ、別にこれは国会中継を見ていて感じた感想ではありません(笑)。
最近、数組のデザイナーさんの打ち合わせを間近で観察する機会がありました。その時に、クライアントからの厚い信頼を勝ち取っているデザイナーさんやクリエイティブディレクターさんたちは、相手の発言の真意を理解する力が非常に高い、と感じたためです。
と同時に、相手の真意を汲み取る前に価値判断をしてしまう人があまりに多い、とこれまでの人生の中でずっと感じてきたためです。