椅子 風邪 原稿

■『椅子 改訂版 - 人間工学・製図・意匠登録まで』(井上昇/建築資料研究社)を読む。

井上昇さんは、日本の三大オフィス家具メーカーからヒット作を発売してきたイスのデザイナー。この10年間、毎年「井上昇の椅子塾」なる教室を主催して、200人以上の塾生を指導し、毎年発表会も開催してきた。その「椅子塾」でのレクチャーの要点をまとめたのが本書というわけだ。

内容は、網羅的で懇切丁寧。イスの歴史に始まり、図面の描き方、模型の作り方、素材の特徴など、イス製作に関する知識が幅広く網羅されている。
特に、本書の大きな特徴を挙げるなら、「人間工学」と「パテント申請」に多くのページを割いていることだろう。前者はデザイナーが負う社会的な責任であり、後者はデザイナーが有する社会的な権利である。つまり、イスが持つ社会性という側面にスポットが当てられており、そうした視点に、自作が400万台以上も販売されたという著者の、デザイナーとしての責任感が伝わってくる。
なるほど、「イス塾」の受講生が製作したイス作品に実際に座ってみると、突飛に見える意匠であっても、意外にも座り心地が良いのは、そんな人間工学の指導の影響なのかもしれない。

網羅的である分、広く浅くなっている面もあるが、入門書としては最適ではなかろうか。イス制作に興味のある人には、おすすめの一冊。

■風邪は悪化せず治った。風邪の初期症状が出たら即座にビタミンCと葛根湯と栄養を摂取して温かくして寝るという、大学生の頃から使っているベーシックな対策だが、なかなか効く。4000〜5000円かかるが、寝込まずに済むことを考えれば、高くない。

■そして日曜から、なぜか体調は平常を通り越して絶好調の域に達し、今月末入稿予定の原稿(中くらいのと短いの)がスイスイと2本書き終わる。毎週3連休だったら、仕事がはかどるだろう。

椅子―人間工学・製図・意匠登録まで

椅子―人間工学・製図・意匠登録まで