グラスホッパー プロトタイプ展 橋本夕紀夫さん

ここ数日。

■朝からずっとデスクワークと電話で取材の段取りなど。
■夜は新宿OZONEにて、noiz豊田さんと中村竜治さんの3Dモデリングソフトに関するセミナーへ行く。ライノセラスグラスホッパーのレクチャーもあり。
進行も務めた豊田さんが中村さんとの接点をうまく見つけながら話を進め、有意義で好感の持てるセミナーだった。グラスホッパーというモデリングソフトは、操作の履歴が
すべて残ることが特徴のようだ。だから、履歴をたどって、「やはり面の曲率を変えてみよう」というようなスタディができる。まるで、反省しながらデザインをしていくようなツールのように見えて、興味深かった。こうしたツールでスタディすると、なんとなく形を決めていくことはできず、すべてのパラメーターを厳密に決めながら形をつくっていくことになるのかもしれない。
中村さんの「なんとなく形が決まってしまうのは、好きではない」という発言が印象的だった。豊田さんも指摘していたように、この発想はグラスホッパー的だ。そして、もっと印象的だったのは、「たいてい最初に完成形は頭の中で決まっている」という中村さんの発言だ。グラスホッパーの画面を見ていると、まるでパラメーターを試行錯誤した結果として建築の形態が生み出されるような気分になるが、実際は反対で、中村さんの言うように、最初に形態のイメージがあって、それをどう実現するかと試行錯誤するのではないか。
とすると、グラスホッパーのようなソフトは単なる描画ツールなのか。それとも、何か建築家の発想を変えることがあるのだろうか。
■その後、タクシーと電車を乗り継いで、六本木ミッドタウンにて、プロトタイプ展のオープニングパーティーへ。たくさんの出展デザイナーさんとお話させていただく。
印象に残った作品は、日頃の活動からの一貫性があるデザイナーさんの作品だった。
例えばMILE。容量に応じて重さの異なるUSBメモリ。彼らは、デジタルな仕組みを、使用者にアナログな手触りで体験させるという発想で一貫している。以前にデザインイベントに出展していた盆栽や月見をテーマにした彼らのインスタレーションを思い出した。
例えば寺田尚樹さん。BCG接種の跡を点字にするという作品。寺田さんは、誰もが見たことのあるものを造形のモチーフにしながら、そこに新しい機能を入れて遊び心のある道具に変えるという発想で一貫している。芝生の形の傘立てやカラーコーンを凹ませたようなイスを思い出した。(寺田さんの仕事は領域が幅広いので、必ずしも上述の発想だけでは括れないが。)
例えば柳原照弘さん。柳原さんの発想は、「いま目に見えている物は、物の本当の姿なのだろうか」と見る人に問いかけるというアプローチで一貫している。何が本物で何が偽物か。何がオリジナルで何がコピーか。その境界線をテーマにしている。先日のデザインタイドで見た、既存の家具をアレンジして新しい家具を思い出す。
例えば照明デザイナーの岡安泉さん。岡安さんは、「この光源の特徴を活かした照明器具のあり方は、どんな形だろうか」と自問しながら照明デザインをするというアプローチで一貫している。先日取材させていただいたサマンサタバサの照明計画でも同様に、LEDだから可能なライティングとはどんな器具で実現できるだろうという発想で、極小のスポットライトを棚板に仕込んでいた。
http://www.superprototype.net/

■この展示会、面白そうだ。行ってみよう。

> ☆cantine d'autore 〜建築とワイン-両者の融合〜
> ■会期:2009年11月17日(火)〜11月20日(金)
>      10:00〜20:00(入場19:30まで) ※入場無料
>      *17日は17:00まで(入場16:30まで)
>      *20日は16:00まで(入場15:30まで)
> ■会場:東京デザインセンターBF ガレリアホール
> 詳細はこちら→http://www.design-center.co.jp/events/index.html

■そういえば、やや手前味噌っぽい話で大変恐縮ですが、ヒューマンアカデミーさんで橋本夕紀夫さんと弊誌編集長のトークセッションが開催される。
いつも取材をさせていただくとき、橋本夕紀夫さんの話は大変面白いので、ラストの新宿の回はぜひ聞きに行きたい。
橋本さんに取材でお話を聞きに行くと、いつもその思考の密度の高さに驚かされる。インタビューをさせていただいていると、いつも「なるほど、それでこういうデザインになったのか」という納得と同時に、「そんなことまで考えていたのか」という発見を得ることができて、とてもエキサイティング。
先日、照明器具の取材で橋本さんに突然電話でコメントをいただいた際も、ゆっくりと、しかし驚くほど整理された明快な説明をしていただき、プレゼンテーション能力の高さを改めて感じさせられた。おそらく無数の取材を受けるから説明することに慣れているという側面もあるのだろうが、それ以上に、最初のコンセプトが最後までブレないから、その説明もブレずにクリアーなままなのではないかと思った。
先日の電話取材は、ヤマギワから発表されたLED照明スタンドについてコメントをいただくための電話だったのだが、「鶴がスッと立っているような形にしようと思った」という最初のコンセプトが、試行錯誤を経ても消えずに、確かに最後まで残っている。決して具体的な鶴の形をしているわけではないのだが、「鶴がスッと立っている」イメージは残っている。もちろん店舗デザインに関する話も、いつも明快だ。
そんなわけで、店舗デザインに限らず、クリエイティブな仕事をされている方やデザインに興味のある方には、橋本さんのトークセッションはとても面白いのではないかと思う。
いろんな都市で開催されますので、お時間ありましたら、ぜひどうぞ。
http://haa.athuman.com/pr/interior/

二子玉川で打ち合わせ。
■玉川高島屋マロニエコートを見る。隈研吾さんの設計。グリーンが増えてきたら、どうなるか楽しみ。