■『朽ちていった命』(NHK「東海村臨界事故」取材班/新潮文庫)を読む。
1999年に起きた茨城県東海村での臨界事故で、被ばくした作業員が3カ月も経たないうちに、筆舌に尽くしがたい壮絶な死を遂げた。本書はそのレポートだ。読むのもつらい。
平易な言葉で書かれた本書は、被ばくすると人体がどのような状態になるかを一般の人に分かりやすく伝えている。
もちろんこのケースは、短時間に大量の外部被ばくした数人の特殊ケースなのかもしれない。しかし、被ばく線量が多かれ少なかれ、方向性としては、このような方向に人体が朽ちていくということがわかる。こうした健康被害が、子供も含めて数千人、数万人、数十万人を襲ったら一体全体どうなるのだろうかと思い、ぞっとした。人知を超えている。
そんな機械を動かしていて良いものだろうか。もしかすると、人によっては、首都圏3000万人の快適生活を支えるためには、数人がこうした凄惨な被ばく死をしうることはやむをえない、と考えるのだろうか。僕には、そうは思えなかった。
短時間に大量の外部被ばくをしたケースだけでなく、長時間に少量の内部被ばくをしたらどうなるのかについても、こうしたレポートが求められる。もう既にそうしたレポートはあるのだろうか。
原発を推進する人も反対する人もそうでない人も、すべての人に一度は読んでいただきたい一冊。
http://www8.plala.or.jp/grasia/dokushyo/JCO/Hibaku2.pdf
http://www.shinchosha.co.jp/book/129551/
- 作者: NHK「東海村臨界事故」取材班
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/09/28
- メディア: 文庫
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