磯崎新著『建築の解体』を再読中。

発刊から40年近くを経た書物だが、いま読んでも抜群に面白い。脚注の一つひとつまで充実しており、恐ろしい密度。
特に、セドリック・プライス(1934年生まれのイギリスの建築家)に関する記述には、後に磯崎氏が仙台のコンペで審査委員長として提示した「メディアテーク」というビルディングタイプに通ずる世界観が描かれている。プライスが描いた計画案「ファンパレス計画」は、エンタテインメント機能が中心ではあるが、メディアテークと呼んでもよさそうな性格を持っているように見える。
 
それにしても、一見異なる作風で設計しているかに見える同時代の建築家たちを、このように明快に「建築の解体」という一つの軸に位置づけた磯崎氏の洞察力と博識に感服。
自分には一生かかってもこんな仕事できないだろうと感じるが、それでもつねに、いつかこんな仕事をしたいと思う。本書は、そのような、遥か遠く僕の視線の先で輝く目標の書の一つである。
 
ちなみに、セドリック・プライスの参考文献に関しては、こちら↓をご覧ください。
 http://10plus1.jp/archives/2003/11/20083049.html