ダイエットより「Just The Way You Are」

最近、同僚など周囲の女性数人から、「ダイエットをしている」という話を聞いた。
偶然かもしれないが、ほぼ同じ時期に数人から。
夏前だから、ダイエットへの関心が向上するのだろうか。
中には、断食ダイエットという過激な手法を取る人もいて、驚いた。
そして、とても悲しくなった。
そこで、今日は、「ダイエットは、ほとんど無駄かもしれない」という話を書いてみたい。それが今日のテーマ。

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「ダイエットしたい」「もっと痩せたい」「痩せたら、より明るい人生が待っているかもしれない」といった女性心理を否定することはできない。雑誌、テレビ、美容メーカー、化粧品メーカー、エステ業界が、「痩せたら、もっと愛される。もっと良い人生が待っている」と煽り、商機の拡大を狙い続けている。しかも実際に、女性は、日々男性から審美性という評価基準で見られてしまう機会も多いかもしれない。そうした幾つもの時代的な背景が、女性の「痩せたい」という強烈な願望を喚起しているのだから、ある程度、ダイエット信仰は仕方がないと思う。
しかも、実際に少しでも痩せて、「なりたい自分」になることによって自分に自信を持つことができ、積極的に人と関わることができるようになり、愛されるようになったというケースだってあるだろう。だから、一概にダイエットのすべてが悪いとは思わない。判断基準は、「無理をしていないか」「自分の生き方に合っているか」、この二つだと思う。
その上で、ダイエット信仰を支えているであろう「痩せたら、もっと愛されるはず」という心理については、僕は否定的だ。
批判は承知の上。だいたい、男である僕がとやかく言ったところで、「男であるあなたに私たちの気持ちがわかるわけない!」と一喝されて終わりだろう。確かに、その通りだ。。。

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そんなお叱りを承知の上で、しかし、ダイエットの話を聞く度に、必ず思うことが一つある。何年も前からずっと強く感じているので、書き残しておこう。
ビリー・ジョエルの「Just The Way You Are」という曲をご存知だろうか。この曲の歌詞は、僕が最も好きな歌詞だ(歌詞も日本語訳も、ネットで簡単に見つけられるので、時間があれば見ていただきたい)。この歌詞を書いたという理由だけでも、僕はビリー・ジョエルを尊敬する。
では、なぜこの歌詞が好きなのか。
それは、誰かを好きになる時の気持ちが、この歌詞の中に、端的に明晰に過不足なく表現し尽されているから。人を好きになった時の気持ちは、この歌詞の内容に尽きると思う。更に言えば、その内容は、「Just The Way You Are」というタイトルに集約されている。

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名曲なので歌詞もメロディーも多くの方が知っているかと思うが、一言で言えば、「そのままの君が好き」という意味の歌詞とタイトルである。
つまり、ダイエットに話を戻すと、「痩せているから好き」とか、「この人が痩せたら、この人を好きになろう」とか、そういう話ではないのだ。

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誰にとっても、きっと「I love you just the way you are」と言ってくれる人がいる。あなたにとっても、必ずいる。非常に低い確率かもしれないが、そういう人に出会う瞬間が訪れるはずだ。
ただし、いつその人に出会えるのかは、分からない。明日か、1年後か、5年後か、30年後か、分からない。生きている間に出会えない可能性だって大いにある。
いつ出会えるか分からないだけでなく、どのようなタイミングで出会えるのかも分からない。一つ言えるのは、思いもよらない意外なタイミングで唐突に出会ってしまうケースが多いようだ、ということだけだ。
もしかしたら、その人は、今あなたの隣に座っているかもしれない。エレベーターを乗り合わせた人かもしれない。カフェの店員さんかもしれない。2週間後に仕事の用事であなたを訪問する人かもしれない。どんなタイミングやどんな場所で出会うのかは、まったく分からない。
いずれにせよ、まったく予期せぬタイミングで、唐突に出会ってしまう。あなたが「出会おう」という意志など微塵も持っていない時に、突然、その人はあなたの目の前に現れる。
ただし、その人があなたに「I love you just the way you are」と言ってくれる人物であるかを見分けるのは、とても簡単だ。どうすれば分かるのか。それには、少し言葉を交わすだけでいい。できれば、少し長い時間、あるいは複数回、その人と言葉を交わしてみるだけでいい。それで、すぐに分かる。しかも、お互いにハッキリと分かる。

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ついでに、もう一つだけ付け加えておこう。
あなたが「こうすれば愛される」と思ってやっていることは、実は、多くの場合、「愛されるポイント」ではない。あなたに「I love you just the way you are」と言ってくれる人物は、あなたが想定した「愛されるポイント」には、おそらくほとんど反応しない。
例えば、あなたが「もっと痩せれば愛される」「こんな仕草や表情をしたら、カワイイと思われる」「面白い話をすれば、相手に気に入ってもらえる」「こんなキャラクターを演じたら、カッコイイと思ってもらえる」などと考えたとしよう。けれど、あなたを好きになる人は、そうしたあなたが想定する「愛されポイント」とはまったく異なるポイントに、あなたの魅力を見い出すはずだ。試しに、あなたに伴侶や恋人がいたら、聞いてみるといい。「出会った当初、自分のどこに魅力を感じてくれたのか」と。
その答えは、おそらく予想外のものだろう。
あくまで例えばだが、以下のような種類の答えが返ってくる可能性が高いだろう。
「メールのタイトルが変だったのが、かわいかった」
「何かに失敗して頭を抱えるときの表情が素敵だった」
「声が素敵だと思った(しかし、あなた自身は自分の声が嫌いだと思っている)」
などなど。
つまり、自分自身としては、「えっ?! なんで、そんな妙な部分を気に入ってくれたの??」と思うようなポイントに、相手が惹かれることが少なくない。
ダイエットに話を戻せば、あなたが「痩せれば、愛される」と思っても、「I love you just the way you are」と言ってくれる“運命の人物”は、あなたの痩身など、大して気にしていない。後になって聞いてみれば、むしろその人は、「肉をバクバク食べる豪快さが素敵だと思った」なんて答える可能性すらある。

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少々話が逸れた。
では最後に。
結論を書いておこう。
あなたに「I love you just the way you are」と言ってくれる人物は、絶対に、「ダイエットしたら好きになってあげる」とか「痩せているから好きになった」とか「ダイエットしてくれ」なんて、あなたに言わない。絶対に言わない。あなたの体重が何キログラムだろうと、気にしない。たった一言、「I love you just the way you are」と言うだけだ。
だから、「ダイエットして痩せること」と「『I love you just the way you are』と言ってくれる運命的な相手に出会うこと」とは、まったく無関係なのだ。
だから、過度なダイエットはやめよう。「愛されポイント」も必要ない。ただただ、そのままでいればいい。 そう言ってくれる相手と一緒にいればいい。きっとリラックスして何時間でも一緒に過ごせるはずだ。
 
それが結論。
以上。

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