先日大阪へ行った際、駆け足で、グランフロント大阪を探索。

   
北館6階のレストランフロア「うめきたフロア」が印象的(上の写真)。
プロデュースは、ポトマックの金指光司さん。ポトマックは、神戸発で、今や東京にもオシャレで居心地が良くエンターテイメント性の高いレストランを出店している飲食店運営会社。
うめきたフロア」は、非常に今日的で、共用部とテナントの区切り(リースライン)が曖昧に見えるよう計画されている。各店舗のテーブルや賑わいが店外に溢れてフロア全体に途切れなく活気を生み出すと同時に、各店へ入店しやすい雰囲気をつくるという仕掛け。
 
この「リースライン曖昧化」によるフロア計画は、僕の知る限りでは、2007年に竣工した新丸ビル7階のレストランフロア「丸の内ハウス」が、大々的な先例だったと思う。
その後、この手法は当たり前になり、あらゆる飲食店フロアで見られるようになった。ここ2年くらいで開業した飲食店フロアで言えば、「渋谷ヒカリエ」「ルミネ池袋店」「錦糸町ステーションビル テルミナ」などが、この手法でつくられた大型の典型例と言える。
さらに、虎ノ門ヒルズなどでは、やや高級な飲食店が入っているゾーンでも、この「リースライン曖昧化」が実施されている。
  
新丸ビルでこうした計画手法を見た時には、「賑やかで楽しそうだ」という印象と同時に、「なぜ落ち着かない通路で飯を食わせるのか?!」と疑問に思ったが、今や主流と化した。
  
また、「リースライン曖昧化」は、飲食店フロアに限らず、物販店フロアでも頻繁に採用されている。東京では、銀座三越の増床時(確か4年くらい前)に、大々的に採用されていた。大阪では、阪急うめだ本店のリニューアル(確か2、3年前)が、大規模な典型例だ。
  
ちなみに、「リースライン曖昧化」というここ8年くらいのショップデザインの潮流は、もっと大きな「社会全体のカジュアル化」という潮流の中の一つの現れだろう。「社会全体のカジュアル化」には、他にも、ファストファッションの大ブームや、経営者がオフィシャルな場にカジュアルな服装で登場する「スティーブ・ジョブズ化」(僕の勝手な造語です、すみません)、そして、若い層の人々が高級店に入店することを極端に忌避する「セレブ恐怖症」(これも造語です、すみません)といった現象があると思う。
  
そんなわけで、レストラン、ショップ、百貨店のデザインには、その時代のメンタリティーが大いに反映されるので、商業空間を定点観測するのは、とても興味深いですね。